1995 ALFA ROMEO 155TS 8V

155TS 8V のセカンドオーナー、サードオーナーは、本来のコンディション(持ち味)を知らずに乗っていることが多いはず。それを100%は無理ですが、LUSSOでは新車時の状態を 80% 楽しんでいただけるリセットを行なう自信はあります。愛車に乗りつづけたいという気持ちを持ってらっしゃる方にはその期待にお応えしたい。ただ、そのためには相応の費用がかかりますので、クルマの状態を確認したうえでお客様とご相談になります。

155の 8V(8バルブ)が入庫してきました。走行距離は86,000km。以前わたしが乗っていた155と同年式です。

クラッチ交換を先延ばしにしていたために、レリーズシリンダーが抜けてしまい、クラッチペダルはスカスカ。クラッチが切れません。今回はクラッチ交換以外に、エンジンマウント交換、ミッションOHも行ないます。

クラッチを交換するためにはミッションを外さなければなりません。ミッションを外すためには前輪はもちろん、マフラーやロワアーム、ドライブシャフト等々を外していく必要があります。

こうして見ると自動車を構成している部品の数に驚きます。

エンジンうしろ側のマウントを外したので、新品(左)と古いもの(右)を比べてみました。古いほうが多少つぶれていますし、ゴムも劣化しています。エンジンマウントがへたるとギクシャクするようになります。8Vは新車でもうまく扱わないとギクシャクしましたから、ここはシャキっとしたいポイントです。
今度は上から部品を外していきます。エンジン右側にあるレリーズシリンダーを外しているところです。つまり、この下にトランスミッションがあります。
抜けてしまったレリーズシリンダーです。ブレーキオイルの油圧で押す仕組みなのですが、ピストンの隙間からオイルが抜けてベトベトです。これではクラッチプレートを押すことができません。

信号待ちなどでクラッチを踏みっぱなしにするとこの部分に負担がかかるので、停車中はニュートラルに入れてクラッチから足を離しておきましょう。

レリーズシリンダーの新(下)、旧(上)です。
ロワアームを外しているところ。
3時間後に戻ってみると、ミッションは見事にバラバラになっていました。
古いクラッチ板(左端)は溝が磨り減っていましたし、レリーズベアリング(中上)は例によって交換時期、右上はミッション内部のカウンターシャフトベアリングです。

半クラッチを多用すると、それだけクラッチ板が減るのですが、馴れないうちはあまり神経質にならないほうがいいでしょう。もしもクラッチ操作が下手だと思えば、人よりすこし早めに交換すればいいのです。(わたしもそうでした)
それに「上手に乗ってやろう」という気持ちをもっていれば、だんだん上手くなっていきます。

ミッション各部を分解、清掃、点検したのち再度組み直します。きちんと組み直すだけでも調子がよくなることがあります。
カバーを被せる直前の状態。じつはこれでは4速までしかなくて、5速はあとから外側に付けたとか。8Vは基本設計が古いエンジンだと聞いていましたが、ミッションの設計も古いようです。
合わせ目にシール剤を塗って組み上がったミッション。いちばん上に飛び出している部分が5速ギアだそうです。
エンジン側のフライホイール。この次にクラッチが来て、その先にミッション、タイヤと回転を伝えて走ります。
ミッションを右前から見上げたところ。
ミッションをリア側から見上げました。ドライブシャフトがつながっているのがわかります。
ひとりがエンジンルーム内の取付作業をしているときに、もうひとりが右前のエンジンマウントを交換します。
他に、サーモスタット交換、水温センサー交換、タイミングチェーン調整、プラグ交換、タペットカバーガスケット交換して完成しました。例によってタペットカバーはきれいに塗装してあります。

クラッチもミッションも軽くスムーズですし、エンジンもぐらぐらしないのでギクシャク感がありません。新車時の固さがないだけ良いくらい。ボディの緩みは仕方ありませんが、走るために不可欠の駆動系はリセットを施すことで新車に近い持ち味を取り戻すこともできます。

155 Q4用ホイールに履き替えました。カッコいいでしょ?

本来の持ち味が戻ることと、リセットした部分のトラブルは当分心配ないのがリセットのメリットです。