1998 ALFA ROMEO 156 2.5 V6

このコーナーをごらんいただいた方からメンテナンスのご相談、ご依頼を受けることが増えてきたので、メカニックさんも張り切ってしまって、ルッソではしばらく重整備が続きそうです。(次回はフェラーリのエンジンを下ろすそうです)

やはり、きちんと整備したクルマは調子がいいです。たとえば、中古車を買って「こんなものか」と思って乗っていたら、リセット後、見違えるように調子を上げてびっくりする、ということもあります。むやみにお金をかければよいというものではありませんが、大事なところにお金をかけてあるクルマは長くコンディションを維持していることが多いのです。

走行距離 45,000kmで、5年目を迎えた156 V6がタイミングベルト交換、ウォーターポンプ交換、ブレーキパッド交換のために入庫しました。また、エンジンの吹けが悪く、息つき感があるとのことです。

多くの156 V6が走っている中、今回の作業はひとつの節目のメンテナンス事例になると思います。

前後ともローター研磨後、ブレーキパッドを交換します。

磨り減るのはブレーキパッドだけでなくローター(円盤)も減って効きが悪くなるので平面研磨してリセットします。

今回用意したパーツです。

写真右側にあるのはベルトやパッキン類、奥にある黄色い筒がエアフィルター、その手前の銀色のパーツがウォーターポンプ、その左が箱入りイリジウムプラグ6本、その下の黒い筒状のものがエアーマスメーター(空気の流入量を計測)、その右がタイミングベルトテンショナー、いちばん手前の4つのパーツはベルトのテンショナー、ベアリングです。

古いドライブベルトとそのテンショナー。ベルトはひび割れ、テンショナーも痛んでいます。
タイミングベルトを交換するために、両バンクのカムカバーを開け、正しい位置で専用工具をつかってカムシャフトを固定します。そのためにはインテークを外します。そうしないと奥バンクのプラグ交換もできません。手間のかかる作業ですが、適正な張りとタイミングを出すために必要な作業です。
手前のバンクのカムカバーを開けたところ。残っているエンジンオイルは黒く汚れています。
インテークを取り外し、奥バンクのカムカバーも開けました。手前にタイミングベルトが見えています。
新旧のプラグ。完全にカブっているようです。
古いタイミングベルト。ドライブベルトのようなひび割れはありませんが交換しておきます。
今回、交換した新(右)旧(左)パーツ。さすがにエアフィルターも真っ黒、ウォーターポンプも回転が渋くなっていました。
クランクシャフトの上に新しいウォーターポンプを取り付けました。
新しいタイミングベルトを張ったところ。このあと張り具合を調整するのですが、そのときはメカニックさんが作業に集中できるように離れています。

逆の立場だったら「カメラ持ってそばで見ていられたらやりにくいだろうな」と思うので、できるだけ邪魔にならないように気をつかいます。

翌朝、エンジンルームは組み上がっていました。6本のインマニも磨いてあります。

最後にコンピュータ(Examiner)をつないでチェックしました。

入庫時はグズっていたエンジンも、アイドリングから高回転域までスムーズに吹けるようになりました。やはりアルファのV6はこうでなくちゃね。気持ちよく回るエンジンはドライバーを幸せにしてくれます。街中で何気なく2速から3速へシフトしていくとかなりのスピードが出て驚くことがあります。GTAを別格とすれば、156の中でも速いモデルです。ミッションが6速まで刻んであるのはハイスピードツアラーの証。コンパクトで速いセダンが欲しい方にはお勧めです。

エンジンはばっちりです。しばらくしたら次はクラッチかな。それはメカニックさんからオーナーさんへきちんと説明があるはずです。