1993 LANCIA THEMA 8.32

ストックリスト」をごらんいただいて購入された8.32なのですが「タイミングベルト交換などリセットしてから納車してほしい」というご要望を受けて入庫しました。

贅沢にレザーを奢ったインテリアが素敵です。オートグリムの「カーインテリアシャンプー」で汚れを落としたあと「レザーケアクリーム」で手入れしました。

リフトアップして作業開始。
フロントまわりを外しました。エンジンルームはぎっしりと詰まっています。
エンジンを左前から見たところ。
エンジンの右前です。ベルトがかかっている黒い筒がエアコンのコンプレッサーです。
馬を立ててエンジンを下ろす準備です。
エンジンが下りました!
エンジンをうしろから見たところ。
前から見たところ。
右側から見たところ。ドライブベルトが見えます。タイミングベルトは黒いカバーの中にあります。
インテークが取れました。内部にはカーボンが溜まっています。きれいにしておきましょう。よく見ると汚れ方にばらつきがあるのがわかると思います。
空っぽのボンネットを前から見上げたところ。
エンジン上部のサーモスタット(黄矢印)とホース、水温センサーは交換します。
交換しました。きれいになっているのがわかります?
緑色のホースと、その左に同じような色のコネクタがついているのが水温センサーです。その上のは水温メーターセンサーでしょう。どちらも8.32には重要なパーツです。また、センサー上下のホースバンドが錆びてだめになっていたので交換します。
水温センサーの右側の当初の様子。ブロックのめくら蓋からクーラントが漏れて黒く汚れていたので掃除しました。この部分はインテークや噴射装置などを全部外さないとまったく見えません。
ここまでで取り外したパーツです。
タイミングベルトなのですが、前バンクが緩くなっていて、手で回したらコマ飛びしたそうです。エンジンが壊れる前にリセットできてよかったです。

恐ろしい話ですが、ちゃんと間に合ったわけですからこの8.32は運が良いのでしょう。

原因を調べたところ、テンショナーの調整位置がまちがっていたためにタイミングベルトが正しく張れなかったものと思われます。

写真で指差しているテンショナーの右側に黒く汚れていない円が見えます。本来、テンショナーはその位置にあって張り調整すべきなのがまちがっています。このままではテンショナー左側のボルト受け軸にベルトが当たって切れてしまう恐れもあります。これは前回整備した工場のミスと思われます。

詳しく見てみたい方は、テンショナーの位置とベルトの状態を後バンクと比べてみてください。
ちなみに、前バンクのタイミングベルトは縞模様がついていました。
エンジンマウントも交換しました。重いエンジンを支えているゴムなので 1cm くらい下がっていたようです。
タイミングベルトを交換して張り調整しました。右側テンショナーの位置を確認してください。
塗装が剥げていたカムカバーをスプレーしました。その下にあるのがガスケットです。
エンジンオイルの注入口。ラッパ状になっているのでゆっくり注がないと溢れます。
交換した古いパーツ。左からサーモスタットとプラグ8本、パイプ類、タイミングベルトとテンショナーにエンジンマウント、それにガスケットです。
エンジンを組んでいきます。
リビルドに出したオルタネータが戻ってきたので取り付けました。
ドライブベルトもエアコンのコンプレッサーを残すのみ。
その夜 23:30 頃、エンジンが再び載りました。これは翌朝撮影したものです。

たとえば、エンジンを下ろすところまで、載せるところまでというようにキリのよいところまで作業を進めようとするために深夜に及ぶこともしばしば。

わたしが帰宅してデジカメで撮影した画像をパソコンで整理してレポートにまとめているとメール連絡が入るというパターンが多いです。

コンプレッサーも付きました。
このあと深夜にエンジンがかかりました。安定しています。あとはフロント周りを組むだけです。
フロントバンパーとヘッドライトが付いてクルマらしくなりました。
完成しました。

最後にボディのお化粧直しをして納車です。

手前味噌になりますが、手間のかかる作業でも手を抜かず、お客様に満足していただけるように、自分たちが納得できる整備をしています。「リセット」といっても特別なことをしているわけではなく、やるべきことをきちんとやっているだけです。でも、それが基本だと思うのです。さらに納車準備としてボディの内外をきれいに仕上げていく過程で、ルッソのスタッフ全員の思い入れが詰まったクルマになります。

リセット作業が済んで「いいですねえ、これで安心して乗れますね」と自分たちが「良い」と思える状態にしてお渡しできるのがうれしい。ほんと自分で乗りたいくらいです。