MASERATI GHIBLI GT

走行中にベルトが噛み込みんでエンジンが停止したギブリが入庫しました。

原因を調べた結果、噛んだベルトがタイミングベルト部に入り込みタイミングが狂ってしまったようです。内部破損のため、お客様と相談の結果、エンジンを下ろして直すことになりま した。費用、時間などいろいろ心配事はありますがお客様の熱意に今回は時間をかけて組み上げることにしました。

(以下、「青色テキスト」はメカニックのコメントです)

大物を釣り上げた状態。エンジンの右下についているオルタネーターがなぜか社外品です。そのせいでベルトのトラブルが起きたのでしょう。

「さぁ、エンジンワークス開始! 集中しないと良いエンジンはできないのでどうしても作業は夜になってしまいます」

カムカバー、タイミングベルトカバーなどを外していきます。

タイミングベルトが現れました。

「ここで直ぐに外すと何も印のないエンジンなので、組むときにすごく苦労します。1気筒ずつ念入
りにバルブタイミングを測定していきます。 (ディーラーのマニュアルも参考にならず、手探りの作業。経験により慎重さを増します。 もちろん深夜です)」

カムシャフトが2本。
ヘッドを外すと、ピストンにバルブが当たった跡がついていました。

ということは、バルブも曲がっています。 これではエンジンはかかりません。

このヘッドは測定、面研、組み換えに出します。
寂しいエンジンルーム。

このあと「人力車だぁ」といってエンジンルームの中に入って記念撮影しました。

「オーナー様の特権ですね」

エンジンがないのでフロントの車高が上がっています。

しばらくして、ヘッドが戻ってきました。すごくキレイ。

「今回ヘッドが戻ってくるのに時間がかかりました。妥協を許さない、かなり厳しいオーダーを出したので、すばらしいものが戻ってきました」

その後、例によって夜中にこっそりポート研磨したそうです。

「その夜、気に入らない所があるので集中してポート修正しました。ヘッドのバリ取りも一日の作業が終わった集中できる時間に行いました」

ヘッドを載せました。 なんだかエンジン屋さんみたい。

「エンジン、やりますよ!」

エキマニとタービン。意外にタービンが小さいです。
それを取り付けたところ。

タイミングベルトを張って調整しました。

「1気筒ずつTOPを測り、カムのタイミングを測り(台風の中)何回も修正しました。ベストタイミングで張り調整し、載せてからでは正確な作業が難しいのでここが正念場です。クランクを20回以上廻しました。絶好調のエンジンができることを祈って」

ギブリの前で記念撮影。

「いいよねぇ、このエンジン。なんだか載せるのが惜しくなってきました」(おいおい)

最終組み立て中。補機類など、だんだん格好がついてきました。
ラジエターホースがつながる口の奥にサーモスタットが見えています。
エンジンに向かって左下についているのがコンプレッサーです。
気がついたらエンジンが載っていました。
ずいぶん組み上がってきました。

こんなトラブルが再発しては困るので、原因と思われるオルタネーターは純正品に交換しました。

サージタンクを清掃中。
取り付け中。

できあがり〜。

「エンジンをかける時はドキドキします。今までの苦労の採点が出るわけですから。恥ずかしながら、必ず念をかけてからセルを廻します。絶好調のエンジン音を聞くとウンウンと頷いてしまいます」

メカニックさんが試運転したら「怖いぐらい速い。いつものようには踏めなくて、途中でアクセル戻しました」。要するに、調子に乗って踏むとタイヤがグリップを失うということですね。

ちょっと危ないギブリの復活ということで、お客様もきっと喜んでくださることでしょう。