ALFA ROMEO 75TS

アルファの「ナナゴー」のトランスミッションが調子が悪いのでオーバーホールすることになりました。

ちょっと古いクルマのお約束で、2速を舐めて(半分くらい入れる)から1速に入れるとか、ギア鳴りするときはダブルクラッチを踏むなどしても、1速やバックに入りにくかったり、2速はどうやってもギャっと鳴く(洒落ではない)のです。

通常、リアのブレーキローターはホイールのすぐ内側についていますが、75はギアボックスとデフが一体化されたトランスアクスル方式で、リヤブレーキローターはインボードタイプでデフ寄りについてます。
リヤアクスルドデオンを下ろしました。
前(右)がミッション、後(左)はデフです。
ミッションを分解してギヤが現れました。左の先端がデフと繋がります。
反対側から見たところ。
ローターやキャリパー、クラッチなど。
2速ギアが鳴く理由がわかりました。内側の爪が削れて角張っているために、スっと噛みあわず擦れて音が出るのです。できれば交換したいのですが、もう部品が手に入りません。
職人さんにお願いして1ギアづつ丁寧に修正を行います。
すべての部品を分解、洗浄、シンクロ交換、スリーブ交換して組み直しているところ。写真上のメインシャフトの左から1速、2速、3速、4速ギアで、右側に5速ギアがあり、いちばん右端がバックギアです。バックのギア鳴りは構造上仕方ないようです。
組み上げて、ざっと塗装したところ。きれいな銀色を見ているとプラモデルの部品みたい。
元通り、ミッションが載りました。シフト操作も良い感じになりました。エンジンは快調で、排気音がクォーンとそそります。スピードよりも気持ちよさが魅力。

メカニック談 「今回試運転した感じではギアもスムーズになり、ギヤ鳴りも収まりました。ただ、このポルシェタイプのシンクロは無茶をするとすぐに壊れます。大事な扱いが必要です。それだけに回転を合わせてシフト操作の決まった快感はオーナー様の特権です」

きれいに洗って完成です。お客様は「これからも大事に乗っていきます」とのこと。わたしたちもお手伝いさせていただきます。

いままでFFとかFRといってもあまり気にしたことがなかったのですが、最近すこし違いがわかるようになってきました。147のセレスピードに乗っていたら、クっとアクセルを踏み込んだときの感じがいかにも前輪で引っ張っているよう。一方、993カレラS(ティプトロ)で高速走行中、わざとキックダウンしてみたら、FFならばトルクステアに身構えるところ、ステアリングにまったくなんのショックも来ないまま、ピクリとも進路を変えずに加速していくので「なるほどこれがリアドライブなのか」。BMW120iもFFじゃないことだけはわかりました。