1998 PORSCHE 911 CARRERA (996)

996カレラの納車整備です。

作業前に試運転して状態を確認し、その後必要と思われる部品を揃えました。

これから交換するパーツ。

左上から、バッテリー、エアコンフィルター、ワイパーブレード、オイルフィルター、プラグ(イリジウム)です。他に、エンジンオイルとミッションオイルも交換します。

まずタイヤを外して、フロント回りから始めます。
タイヤを外すにはロックボルトソケット(右)が必要です。ポルシェを購入されるときにはソケットがあることと、それが実際に合うことを確かめてください。
古いエアコンフィルター。かなり汚れていました。これでは機能が発揮できません。
古いバッテリーを下ろしたところで端子をブラシで磨いておきます。これだけのことでも接触不良のトラブルを防ぐことができるはず。アーシングをするよりもまず基本から、ですね。
新しいバッテリーを載せて、いまは+端子だけつないでおきます。

フードを開けるとランプが点灯します。作業に時間がかかる場合はバッテリー消費を減らすために端子を外しておきましょう。

ワイパーブレードを交換します。

ここまで15分くらいでしょうか。

さて、つぎはリア回りです。

といっても、オイルを抜くのも、プラグ交換も下からになります。ひとつのセクションとして区切ると作業を短縮できるそうです。

リフトアップしたところをフロント側から見上げてみました。
エンジンオイルを抜きながら、ドレンボルトの脇にあるオイルフィルターを外しています。オイルは結構汚れていました。
オイルフィルターは中身だけ交換するタイプ。フィルターケースに新しいパッキンゴムをはめます。
さて、プラグ交換なのですが、エキマニの隙間での作業となります。

これはエンジンの左側。黄矢印の遮熱板を外すとコイルが3本並んでいます。

この黒いのがコイルで、その先にスパークプラグがあります。

そのコイルの左に Vario Cam という刻印が見えています。

コイルとプラグをすべて外しました。右下の「雪の結晶」が新しいプラグです。(並べたのはメカニックです、念のため)
古いプラグは中心の電極が6本ともおなじように減っていました。

6本の状態にばらつきがないので「イタ車ではこうはイカン。さすがポルシェだ」と妙なところで感心したりして。(苦笑)

リアからエンジンを見上げたところ。

エキマニとマフラーがぐるぐる巡ってます。

エンジンの前のミッションです。
ここでちょっと外出。その間にミッションオイルも交換が済んでいました。

「なんだかオイルパンがきれいになってません?」
「え、そうですか?」
「またまた〜」

取材中はいつもこんな調子です。

各部締め付け、ブレーキの点検、清掃後、タイヤをつけてリフトを下ろしたところでホイールボルトを増し締めします。
ちなみに、お客様のご要望を受けて、ETC(黄矢印)とインダッシュナビ(PanasonicのStrada)を取り付けました。
完成です。

オイルとプラグを換えただけでカレラが蘇りました! これはうれしい変化です。エンジンが本来の仕事をできるようになったというか、スムーズに気持ちよく走るようになりました。カレラってやっぱり速かったんだ。

この996カレラは1998年式ですから7年、45,000km走っているのですが、見ても乗っても7年落ちとは思えませんでした。それにきちんと整備してやれば本来のポテンシャルを引き出すことができるという、とても正直なクルマです。