ALFA ROMEO 155TS 16V

ALFA155TSのパワステラック交換です。

といっても急に壊れたわけではなく、すでに走行11万kmですし、以前から前兆があったのです。高速走行中心なのでステアリングを大きく切ることは少ないのですが、逆にセンター付近のガタが出てきて、いずれラック交換になることはお伝えしてありました。そして、ついに「パワステが死んでしまった」ということで入庫とあいなりました。

パワステオイルは空っぽ。リフトアップするとオイルが漏れた跡(黄矢印)があります。当然ステアリングは無茶苦茶重いです。

わたしもALFA164 SUPER 24Vに乗っていたときにパワステホースが弾けてオイルが抜けたことがあります。曲がり角が恨めしかったです。(苦笑)

「ラック&ピニオン」では、ステアリングにつながっているステアリングシャフトの先端に小さな歯車(ピニオン)があり、このピニオンは歯を刻んだ丸棒(ラック)と噛み合っています。ステアリングを回すとピニオンが回転してラックを左右に動かすわけ。このラックの動きをタイロッドを介して車輪に伝え、車輪が左右に向きを変える仕組みになっています。

黄矢印が指しているのが、左のタイヤハウスから見たタイロッドで、その奥にパワステラックがあります。ラックがメンバーの上にあるので交換にはすこし手間がかかります。
新品のパワステラックと高圧ホースです。

え、袋に入っていたのではよくわからん、と?
失礼しました。

パワステラックの新(下)と旧(上)です。

黄矢印がトーションバーといってステアリングの遊びを作り出している部分(遊びがないと危ない)で、その先にユニバーサルジョイントがつながり、最後にステアリングが付きます。パワステラック両端の黒いゴムブーツの被せてある部分がタイロッドです。

パワーステアリングは、パワステポンプの油圧でラックが左右に動くのを助ける仕組み。パワステラックには左右に2個所パイプ(左写真の上側にみえています)がつながっていて、ステアリングが右に回されると(ラックを左に動かして右タイヤの後側を引く必要があるので)ラック右側の圧力を高めて、左側の圧力を抜くのです。

パワステポンプとパワステラックをつなぐ高圧ホースも新旧並べてみました。高圧ホースは上にゴムのスリーブを被せてあって片側が開いているのです。出来損ないではなくて、ホースが破れたときにパワステオイルがマフラーにかかって火災が起きたりしないようにしてあるそうです。

油圧式パワステは非常にコンパクトなのですが、内部の油圧は約50〜60bar。エンジンオイルの油圧計がせいぜい5barだとすると、その10倍の圧力がかかっているわけです。ステアリングをいっぱいまで切ったときにプシューと音がするのは圧力を逃がしている音。ただ、そのリリースバルブの動きが悪くなっていたらホースが破れるか、パワステラックの両端からオイルが漏れるでしょうし、ロックさせたままキープしたらポンプが焼けるかもしれません。不要な圧力をかけないためにもステアリングをロックさせないように心がけましょう。

新しいパワステラックが入り、パワステが復活しました。

「大車林」(三栄書房刊)によると、油圧式パワステは常時動かしているポンプの排圧によるエネルギー損失が出てしまいますが、電動式パワステは作動時のみなので損失がないとか。BMW MINIが電動式で、ステアリングを切るたびにウィーンとモーター音が聞こえます。

オマケ画像。

マセラティ・クアトロポルテV6のフロント足回りを見上げたところです。

ごらんのようにパワステラック(黄矢印)がメンバーの下についています。