1996 BMW M3 (E36)

東京からE36 M3が運ばれてきたということで取材に入りました。

先日、お客様がお電話があり「高速でハンドルが振動するんです」とのこと。

ホイールの変形がないかどうか、タイヤ空気圧チェックをお願いしたところ「問題ありません」。そうなると機械的な問題を抱えている可能性があります。東名高速で名古屋まで自走するのは危険なので、当社と協力関係にあるグースネック横浜工場でリフトアップして状況を確認してもらったところ、左フロントのブレーキが固着していることが判明。お客様は「ルッソで直してほしい」ということで名古屋まで陸送されてきました。

左フロントのブレーキローターを手で回そうとしても回りません。ロック(固着)していますし、ローターが焼けています。

しかし4輪のうち1輪だけブレーキが固着してもクルマは動いてしまうのでオーナーは気づくのが遅れる可能性があります。今回は早めにご連絡いただいてよかったです。

左のローターは軽く回ります。
左右ともブレーキキャリパーをオーバーホールします。

これは左側。ブレーキパッドも焼けています。

キャリパーからピストンに錆が移ってしまったようです。ピストンは直径約6センチ、内部は空洞ですが手に持つと重量感があります。
キャリパーの錆を丁寧に落として清掃します。
古いインナーシール(右端)とダストブーツ(中央)、その2個がセットになった新品のオーバーオールキットです。

キャリパーの奥側の溝にインナーシールがはまってオイルをせき止め、手前側にはまるダストブーツがホコリなどを防ぎます。新品を触ると、とても柔らかくてスベスベしています。

ブレーキローターがかなり熱をもったはずですからハブベアリングも交換したほうが無難。それも片側だけ交換したのでは左右のバランスが狂うため、左右とも交換します。
ハブベアリングの新(左)と旧(右)。

これがタイヤの中心にかかる力を支えているのですからたいしたものです。

SST(専用工具)で新しいハブベアリングを取り付けます。
新しいハブベアリング、ブレーキローター、ブレーキパッドで組み上げました。
右フロントも同様に組んで完成です。

このあとメカニックが高速道路を含めて試運転を行い、問題のないことを確かめて納めさせていただきました。