ALFA ROMEO 156 (E-wayama)

街中でずいぶんとアルファロメオを見かけるようになりました。正確には156を見かけるようになったのです。これだけ見かけると言う事は世間でも156が認知されていて購入対象に考えられる方が多くなったという事なのでしょう。アルファロメオを取り巻く環境が変わりつつある事を感じます。

156に初めて触れた時に感じた第一印象を思い出してみました。それまでに携わっていたモデルに比べ全体的にしっかりしたクルマになったということがありました。ドアを開ける時からクルマが変わった事を感じた事が印象的でした。

これまでに全てのモデルを取り扱っていますが、あまりトラブルで悩まされると言う経験がない優等生だけに実際に自分で乗ってみて考える機会がなかった事が気になっていました。156を検討されている方に対して自分なりの案内ができていないような気がしてきたのでこれではいけないと思い、乗ってみる事にしました。

■ 156 2.5V6

24VのV6を載せているこのモデルには非常に興味がありました。エンジンのフィーリングがアルファロメオの70%くらいを決定するような気がしているので156を知るには乗るしかないと思い入手しました。ノーマルの状態で聞こえてくるエンジン音はおとなしい印象を与えてくれますが走り出せばおとなしくない事が分かります。

1速でアクセルを踏みこんでいくとロメオのV6の音がしてきます。何よりも最初に感じたのは「結構速い!」ということです。155のV6に比べて加速はスムースです。エンジンの持つ面白さがアクセルを踏む事で簡単に引き出せると言う点では今までのロメオの良さを確実に引き継いでいます。モデルが変わってもこういう基本的な性格が変わっていない事は嬉しい限りです。世代が代わっても乗り味が変わらないと言う事で3世代前のロメオの乗り味を想像できるという楽しさが156にも残っていました。一貫したクルマ造りはどのメーカーも大切にして欲しいものです。

エンジンフィールは合格、ではそれ以外は?ブレーキに関して街乗りと山道くらいなら十分すぎるほどのできだと思います。特に恐い思いする事もないでしょう。これ以上を望むと言う事はそれなりに必要性がある場所での話だと思われます。

V6に乗って感じた中で「スピードが出過ぎるのでは?」という事があります。勿論アクセルを余計に踏まなければそれで良いのでしょうが運転しているとついつい踏みたくなってしまう味付けがしてある訳ですから罪作りです。自制心が試されるモデルです。

V6の乗り手はエンジンが持つ力を十分把握した上でその力の80%くらいを上手に引き出して運転する事を試してみてはいかがでしょうか? 排気量が与えてくれる余裕を十分に使う事がV6オーナーとしてエンジンを楽しむ事に繋がるように感じます。私は街乗りでV6エンジンの全てを出すような運転はできませんでした。そしてそれは常識の範囲を簡単に超えていくスピードに責任が持てそうもなかったからです。156は確実に進化していました。

156のV6は非常に優秀なクルマです。マニュアルかQシステムかは非常に悩むところです。ごく一般的な日常の足クルマとして使えるクルマである事は間違いありませんから、その選択は買われる方の任意以外では決められません。

最後に高速道路でのインプレッションを少しだけ。

街乗りでは少し速すぎると感じたのですが高速道路では「気持ち良い!」クルマになります。エンジンの持つ力を使い切る事もできる訳ですから良いに決まっています。運転は非常に安楽でありかつ楽しい物に感じられます。長距離も上り坂もあまり気にならないと言う事は高速道路において重要なことです。6速マニュアルも高速道路でやっとその真価を発揮してくれます。ちょっとした追い越し加速が必要なら5速に、一気に加速したいのなら4速まで落とせば十分な力を発揮してくれます。その上6速ホールドでも十分乗れますので高速道路を使う機会が多い方はV6を選ぶ事をお勧めします。

155に比べて高速走行時の安定感もアップしています。個人的にはもう少し足を固めても良いかと思いますが一般道を考えると「?」かとも思います。装着しているタイヤの銘柄によっても感覚は変わる事を考えるとまだまだ考える余地はありそうです。

■ V6でのベストチョイス

Eワヤマが個人的に選ぶとしたらV6スポーツワゴンを選んでしまいそうです。特に理由はないのですがV6乗るならマニュアルでワゴンを乗ってみたいと言う理由からです。たいしてラゲッジスペースがある訳でもないのですがすれ違う確立がセダンより少し低いから選んでみました。(笑)

日常での使用がメインならQシステム、週末だけの使用ならマニュアルでと言うのが一般的な選択方法の基準になると思います。

■ セレスピード考察

V6を乗り終えてもう一台、2.0TSのセレスピードにトライしてみる事にしました。

セレスピードに関しては初期モデルに関してかなりのクレームが出ている事を聞いています。内容的にはセレスピードのシステムに関しての物で、変速を司るアクチュエーターからのオイル漏れと1速にスタックしてエンジンが止まり再始動ができないと言うものです。この問題はけっこう深刻な問題です。エンジンが掛らないと言う事は緊急時に動けない事になります。そしてこのようなトラブルはインポーターも深刻に受け止めていますので今では対策がなされております。

評判が悪くなったから諦めてしまうと言うのでは寂しすぎるので今回入手したクルマはインポーターによるセレスピード対策済の個体です。

■ 微妙なシフトラグ

今までにも何台かセレスピードは乗った経験がありますが自分のクルマとして使った事はなかったので新鮮な気持ちです。未だに取り扱い方を良く理解していないので驚く事もままあります。

雑誌などではかなり酷評されているセレスピードのシフトチェンジ時の違和感ですがそれほど酷いとは感じません。乗り手が自分なりの乗り方を考えもしないで少し乗っただけで下した判断がスタンダードな評価と言うのは納得いきません。乗り方があるのです。

確かに踏んだままクルマ任せに運転していればシフトチェンジの際に嫌な感じのラグを感じます。しかし自分の意志でシフトチェンジするような意識を持って乗っていればそこまでのモノには思えません。

そもそもセレスピードと言うシステムをオートマの代わりになるものとして案内している事に問題があったのではないでしょうか? セレスピードはクラッチを踏む必要のないシステムと受け止めて利用すれば良いと思うのです。多くの事をクルマに期待しすぎるから狭い視野でしかクルマを楽しめなくなるのではないでしょうか? セレスピードをクラッチのないマニュアル車として考えれば良いのでは?

今までオートマじゃなければと言う理由でロメオの購入を断念してきた家族もちのクルマ好きにとっては奥様を納得させる最高のシステムだと感じています。(笑)

■ 回せば楽しい

V6に乗っていたから乗り換えた瞬間は走らない、力ない、と言う事が気になりました。セレスピードにも慣れていなかったのであまり回していなかったのもあるのですが、V6がやっぱり良いなと正直感じていました。

少し慣れてきたところでエンジンを回してみて「16Vも良いな!」と訂正する事になりました。街中で気持ち良く乗れるエンジンとしての完成度は8Vを進化させたエンジンとして合格です。扱いやすいし気持ち良く回るしで楽しめます。8Vの持つエンジン特性を正常に進化させればこうなりますと言う事をロメオは16Vで証明しているという訳です。街中をメインに使用するなら16Vで十分です。

■ 右足の使い方

セレスピードを楽しむ上で絶対必要な右足の使い方を少しだけお伝えしておきます。これはマニュアル車を乗っている方なら誰でもしているクラッチを切りシフトを換える時にアクセルを戻すという動作をするというだけの事です。普段はマニュアルを操作するのを嫌がる女性オーナーでもクラッチレスであれば納得して頂けるのではないでしょうか? シティモードばかりで乗るのがセレスピードではないと言う事を忘れないで欲しいものです。

■ 2.0TS

ツインスパーク2.0はV62.5に比べれば確かに力はないです。が、エンジンを回してその力を使うと言う観点に立って考えれるとV6よりも楽しめるように感じます。V6ユニットがその性能を発揮できる場所は高速道路や4人乗車時などですが、自分の楽しみとしての156であるならばTSユニットの方が安心して楽しめるように感じます。回した時にその楽しさが理解できると言うのがロメオらしくて良いなぁと感じました。エンジンに拘る選択がクルマ選びにおいて大切な事であると思います。

■ 156選び

156を選ぶと言う事は結局「乗用車を選ぶ」ことになります。その選択に関して基本となるのはエンジン選びに尽きます。

ディーラーで購入する新車には3年保証が約束され、クルマの完成度は高くなったと言う事がはかれます。中古車市場においても数台ある中から選べる状態にもなりつつあります。後は二つのエンジンを乗り比べてみて御自身が良いと感じたエンジンを載せているモデルを選べば良いだけでしょう。

アルファロメオが気軽に選択しても選んだ方に悲しい思いをさせないクルマに変わりつつある事が今回の発見でした。(E-wayama)