1997 ALFA ROMEO GTV V6 24V (E-wayama)

1997 ALFA ROMEO GTV V6 24V


GTVに乗ってみた。今回は最新バージョンである3L.24Vと言う ALFA最強のエンジンを搭載したモデルです。GTVに関して言うならば正規輸入モデルである2L.V6ターボ、更にヨーロッパ仕様の2L.V6ターボ235馬力モデル、2L.ツインスパークまでを乗り比べ自分の中でGTVを把握していたつもりでした。

このクルマに搭載されている24VエンジンはALFAの最強エンジンであり164Superから日本には導入されているエンジンなのでなじみはありますがマニュアルで操れるのは164Q4だけだったのでその存在が多くの人には少し遠かったように思います。今回GTVに搭載されたことでこのエンジンが身近になったので早速乗ってみることにしたのです。

外見上の変更はアルミホイルのデザイン、フロントバンパーの変更、24Vというバッヂくらいです。装備的には助手席エアバッグの追加、4ポッドのブレンボキャリパー、ステアリングの3点が主です。やはり気になるのはエンジンが変わったこととブレーキが変わったことでしょう。この変更がどうなったかを知りたいのです。

エンジンを始動させて暖気をしている間に外に出て排気音を聞いてみるがターボのそれよりは少し静かになっている。なんだか寂しいなぁなんて思いながらクルマに乗り込んで発進です。その時点で2L.とは違う乗り易さを感じれます。やっぱりトルクがあることで街乗りを楽にさせてくれています。

1速は3500回転位まで引っ張り2速で全開までと思ったとたんにスピードが街の流れから外れすぎてブレーキって感じです。これはもう町中で楽しめる領域ではないです。別に踏みつけなければいけないわけではないですが踏むときは理性との戦いになるのは間違いないでしょう。そんな訳で走る場所を高速道路にかえてみます。これはもう一言でいうならブラボーの世界です。思わず顔がにやけてしまうこと間違いなし、端から見ると危ない人になれます。あっと言う間に免許取り消しも可能です。

しかし4000回転からの音を聞いているとなんとも言えない心地よさについ我を忘れてしまっても仕方がないと思えてしまいます。ALFAのV6の音はやっぱり堪らない物があります。

乗用車としての使用を前提に再び町中に戻ってみます。使えるギアは3速までで十分です。少し細い道で流れが遅いようなら2速ホールドでもいいクルマです。どのギアでも4000回転より上にタコメーターの針があれば気持ちのいい加速を簡単に手に入れられます。それくらいアクセルのレスポンスはいいです。尖っていないから物足りなく感じる方もいるでしょうがこのレスポンスは街乗りを楽しくさせてくれます。

そしてブレーキ!これはかなりいいです。制動力も大幅に良くなっている上にその感触も良く、かなり思い切って踏めるブレーキに仕上がっています。パワーとブレーキの関係がすごくいいバランスで保たれているのを感じられると思います。結局いくらパワーを与えても止めることが重要だということ再認識させられるブレーキです。

   今までのモデルとの比較となるとこれは難しいです。クルマの持つ性格が変わってしまったために単純に比較はできないと思います。2L.のモデルに込められていたのはピーキーでもいいからキビキビした運動性能が欲しいというのに対して3L.にはグランドツアラーとしての能力を充実させたいという思いが感じられます。ハンドリングについてはこの性格差が微妙にでていますが、どちらがいいかは乗り手の好みによって分かれるところでしょう。個人的に言うなら2L.ターボを仕上げていくのが楽しい様な気がします。

今回の試乗を終えて感じたのはGTVのバリエーションが熟成されたという事です。今までのモデルを煮詰めて完成させたと言うよりは最初からあったモデルが遅刻してきた感じです。

GTV、言うなればグランドツアラーの速い奴って事ですから今回の変更はその主旨に忠実に沿ったといえます。エンジン屋の作った良いエンジンに乗ることは楽しいと言うことを再認識しました。