SHOT 115 - 2005/11/16

AMG SL55に乗りました。

キーを持っているだけでドアロックも開きますし、ブレーキを踏んだまま(シフトレバー先端にある)STARTボタンを押せばエンジンが始動します。

最近ではとくに珍しい機能ではありませんが、ふだんキーレスも付いていないクルマ(E32)に乗っていると新鮮です。どんどん電子制御化が進みますね。

低いシートに滑り込んで走り出してしまえばSLの室内はきわめて快適な空間です。パワフルなエンジンは、ちょっと深めにアクセルを入れるとリアホイールが滑りますが、電子制御できれいに押さえ込まれますから心配無用。音楽CDを楽しみながら流していると、ふと自動車の存在が意識から消えて、空間を移動する自分だけが残っていました。SLは嫌いじゃないし、素晴らしいクルマだと思うけれど、実際に走らせるといまひとつピンと来ないのです。

これがマセラティだと危うさ、怪しさを秘めた「華」があって、いろんな意味で乗り手を選ぶのですが、SLは間口が広くて誰でも受け入れてくれる乗用車。トラブルなど心配する必要がなくて、ドライバーをいたずらに刺激しないクルマ。それをメリットだと思うか、退屈だと思うかは個人の価値観によります。

これまでの経験上、心が「ドキドキ、ワクワク」震えるクルマ(たとえばエリーゼ)は理屈抜きに楽しめるのですが、そうでないクルマは自分で理由(理屈)を考えないといけないのです。たいていの場合、後者のほうが楽チンで、前者は疲れることが多いというのが皮肉なところです。

あなたはクルマになにを求めるのでしょうか。


★追記★ クルマになにを求めるか。わたしはエンジンフィールにこだわりたい。たとえば、ALPINA B3Sの滑らかな回り方と、控えめだけどパワーと共に盛り上げってくるエンジン音は秀逸。東名高速・名古屋ICのループを抜けて、加速しつつ合流するところなんて至福の時です。一方、ALFA SZの3リッターV6 SOHCエンジンも軽々と吹け上がり、心地よい排気音はアクセルワークを楽しいものにしてくれます。