1999 ALFA ROMEO GTV 3.0 V6 24V 納車整備レポート (2005/7)

99年式 ALFA GTV 3.0 V6 24Vは右ハンドルの6MTです。現在42,000kmで次のオーナーにバトンが渡されることになりました。

2003年5月に28,000kmでタイミングベルト交換済み。それ以後の整備状況(抜粋)を下にご紹介します。

前オーナーが半年ごとにきちんと点検とボディコーティングを行ってきた個体です。大事にされていたことがおわかりいただけるかと思います。

2004/4/28 6ヶ月点検
(38,069km)   Fエンブレム交換
  ウォッシャーチェックバルブ交換
  エンジンオイル交換 Motul 2100
  ラジエターキャップ交換
  エアバッグランプ点灯エラー消去
  ボディコーティング(半年)
2004/10/2   車検整備代行一式
(39,343km)   ブレーキオイル交換
  LLC交換
  ワイパーブレードセット交換
  ボディコーティング(半年)
2005/4/15   6ヶ月点検
(40,136km)   T/Mオイル交換 YACCO BVX1000
  バッテリー交換
  ボディコーティング(半年)
2005/5/29   F左右スタビロッドリンク交換
(40,536km)    

ルッソに納車整備のために入庫する際、営業担当者から「クラッチがすこし重い」とのコメントがあった点を、メカニックが試運転で確認。走行距離のわりにクラッチが減っているらしく、次のオーナーが「クラッチはいつ交換しないといけないのだろう」と心配しながら乗らなくても済むようにレリーズシリンダーを含めてクラッチ3点セット(クラッチ板、クラッチカバー、レリーズベアリング)を交換することになりました。

また、エアコンのコンプレッサーが以前から「カラカラ」と異音がしていました。実際にはちゃんと冷えるのですが、できれば(異音ではなく)GTV本来のエンジン音を楽しんでいただきたいので交換することにしました。昔に比べてコンプレッサーの価格が下がってきていることも追い風になりました。

ルッソに入庫してエンジンルームが汚れたままお返すすることはないので、ごらんのとおりエンジンルームはきれいです。

クラッチ交換のためにはトランスミッションを下ろさなければなりません。

フロントの足回り、ドライブシャフトを外していきます。

右側からフロントを見上げたところ。

マフラーとエンジンマウントが外れています。

外された部品たち。

ドライブシャフトも取れました。

シフトレバーから伸びている2本のケーブルがトランスミッションにつながっています。
ミッションオイルを抜いておきます。
トランスミッションが下りました。
これがフロントのメンバーです。

これを外すためにはシフトレバーとサイドブレーキのユニットを下ろさなければなりませんでした。

フライホイールを外したあとのエンジンブロック。

黄矢印がスターターモーターなのですが、ミッションを下ろすためにスターターのボルトを外すのにエキマニをずらさないといけなかったりして、ちょっと手間がかかります。

フライホール(左)と、古いクラッチカバー(右上)とクラッチ板(右下)です。
クラッチ板は磨り減っているだけでなく、表面が若干荒れています。

新しいクラッチ板(左)とクラッチカバー(右)です。

このクラッチはPULL式、つまりクラッチカバーの爪状のバネの中央についているレリーズベアリングを「引く」ことでクラッチが切れます。

フライホイール、クラッチ板、クラッチカバーを取り付けたところです。
元通りトランスミッションが載って、ドライブシャフト、フロントメンバー、足回りも組み付けられています。

クラッチのレリーズシリンダー(黄矢印)はゴムのパッキンが割れてきて、シリンダー内部に錆が見られるため交換することにしました。

信号待ちではギアをニュートラルに抜いて、クラッチから足を離して待ちましょう。それがレリーズシリンダーを長持ちさせるコツです。

新しいレリーズシリンダーが付きました。

これでクラッチ回りに関しては当分の間、心配はありません。

前オーナーが「走行中にバックギアに入りそうになった」と伺ったことがあるため、シフトレバー回りを点検しました。

シフトノブ下のリングを引き上げながらでなければ右下のRポジションには入らないようになっています。左の写真でいえばレバー根元の黒い樹脂が白い樹脂カバーに当たって右に倒れないのです。

通常のシフト操作ではこの樹脂が割れることは考えにくいのですが、シフトレバーに身体や重い荷物をぶつけると破損することもありえます。なんらかの事情で(右ハンドル車の場合)助手席から運転席に移動するような場合はご注意ください。

リングを上に引きながらレバーを右に倒すと、白い樹脂カバーを乗り越えて、黒い樹脂の爪が噛んで右に傾いたままになります。

この仕組みをイメージしながら操作していただくとクルマに優しい扱いができるかと思います。

これが新しいコンプレッサーです。

今年の暑い夏を乗り切るためにも頼もしく見えます。

コンプレッサーはエンジンの右前に付きます。

パイプの継ぎ目のOリングも当然交換します。

マフラーを組みつけています。
エアバッグ警告灯(黄矢印)がついています。前オーナーがシートを動かしたら点灯したそうです。
運転席、助手席ともにシートの下にシートベルト・プリテンショナーの配線があります。そのコネクター(黄矢印)をひっかけて接触不良が起きているようなので修理します。
シートのセンター側にもコネクター(黄矢印)があります。

コネクター部分を半田づけするなどしたのち、専用テスター(エグザミナー)をつないでエラーを消去します。

完成したところで、今後GTVライフをもっと楽しんでいただくためのメカニックからのご提案です。

消耗品の状況は、ブレーキパッドの残量が前後とも約3分の1となっており(走行状況によって異なりますが)あと8,000Kmと考えています。前後ブレーキパッドの交換、ローター研磨と考えておりますが、ドリルド・ローターに交換、ブレーキホース(ステンメッシュ)交換で制動力のアップも良いでしょう。より快適に乗っていただくにはタイヤ交換もお勧めいたします。純正は16インチですがこの機会にインチアップなどいかがでしょうか。インチアップに伴い、アブソーバーをKONI、ビルシュタインに交換。スプリングはそのままで車高を変更しないのがおすすめです。ホイール、タイヤについてはお客様のお好みがございますので、ご相談いただければお見積もりをさせていただきます。その他消耗品につきましては、前オーナー様が6ヶ月ごとに点検されておりましたのでいまのところ問題ありません。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

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