1989 DAIMLER DOUBLE SIX 納車整備レポート (2005/11)

ダイムラー・ダブル・シックスの納車整備を行います。

走行距離は4万km弱ですが、しばらく乗らずに置いてあった車両です。

インテーク脱着、ラジエターOH、パワステラックOH、ホース類、ドライブベルト、マウント、ブッシュ、ガスケット、各種リレー、ウォーターポンプ、プラグ、ブレーキマスター、油脂類等を交換します。

OHするためにラジエターを外したいのと、インテークを外すために周囲を分解していきます。

 

ラジエターと電動ファンが外れました。

大きいベージュ色のファンは電動ではなく、ウォーターポンプといっしょに回転します。中央の銀色の部分がカップリングといって、冷間時には低速で、温間時には高速で回転する仕組みになっています。

エンジンを真上から見たところ。右が前になります。

写真の上下から6本ずつ足が伸びているのがインテークです。

ウォーターポンプを外したところ。

冷却水はかなり汚れていました。

ウォーターポンプの新(左)と旧(右)。

古いポンプはロックして回転しない状態になっていました。

ウォーターポンプにつながっているバイパスパイプのゴムホースが劣化しているので交換します。
OH後のラジエター。
古いエンジンマウント(左)は斜めに潰れていたので新品(右)に交換します。
外したインテーク。内部のカーボンなどもできる限り取り除きました。
インジェクターホースが劣化して亀裂が入っていました。燃料が通るホースなので交換します。
12本のインジェクターすべてのホースとガスケットを交換しました。
パワステラックはブーツの破れとオイル漏れがあったためOHします。

ATオイルフィルター(黄矢印)を交換するためにオイルパンを外しました。

ATオイルパンの底には灰色の鉄粉が溜まっていました。磁石(黄矢印)にも付着していましたが、取り切れなかったようです。

清掃後のオイルパンです。

ATマウントのブッシュとスプリングを交換します。

中央の茶色のブッシュがぼろぼろになっているのを、その下にあるゴム製ブッシュに替えました。

フロントのクロスメンバーマウントの新(左)と旧(右)です。

古いマウントはゴムが切れてしまっています。

このマウントを外すにはメンバーをすこし下げる必要があります。

ロワアームとアッパーアームのブッシュを交換し、専用工具でスプリングを縮めて取り付けます。
ブレーキマスターシリンダーの新(手前)と旧(奥)です。

インテークはガスケットを替えて取り付け、周囲を組んでいきます。

ホースやケーブルが縦横に走っているので複雑です。

ファンシュラウドを取り付ける前のラジエターとエンジンの状態。(エンジンルーム右側から見たところ)

 

フレームとオイルクーラーパイプとが干渉しないように対策しました。
燃料計がスムーズに動かないため、燃料レベルセンサーを交換することにしました。

ダブルシックスの燃料タンクは左右独立しており、ダッシュボードのタンク切替えボタンを押し込むと左タンク、飛び出した状態で右タンクにつながります。

レベルセンサーはテールランプのすぐ内側(黄矢印)にあります。ここに燃料タンクがあるということは、追突されないように用心しましょう。

燃料レベルセンサーの新(上)と旧(下)。

右端の浮きがガソリンの増減によって上下し、その変化を中央付近のセンサー部(可変抵抗)で検知するシンプルなもの。古いセンサーにテスターを当てて抵抗値の変化を調べたところ、そもそも接触が悪くて使えないことがはっきりしました。

すべてのベルトが張られたエンジンルーム。
ATシフトゲートの載っているウッドパネルの端が剥がれて浮いてきていたため、一旦パネルを外して接着しました。実際には鉄板の上に薄いウッドパネルが貼ってあります。
天井の布が剥がれて垂れ下がっていたので、パネルを外して張り替えます。

左の写真は車外に出した天井パネル。紙を固めたものなので折れないように出すのにひと苦労。助手席を外して前のドアから出すのですがパズルみたいです。

布の裏に張ってあるウレタンが茶色に変色して残っています。ウレタンを取り除いてから新しい内張りを貼らないと、また剥がれてしまいます。

天井がきれいに張り直されて戻ってきました。
比較的厚手のウレタンを使ってあって、手触りも心地いいです。

元どおり取り付けます。

スターターとオルタネーターをリビルド品に交換しました。
最後にETCを取り付けて完成しました。

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