インプレッション

今回はリフレッシュ前に(変化を知ってもらうために)1週間ほどオーナーに乗ってもらってから作業にかかりました.

結果,かぶり気味で1気筒が不調だったエンジンフィールは新車に近い状態にまで復活し,ピックアップも向上.エンジンマウントの交換により,アクセルのオンオフによるぎくしゃく感もなくなり,低速でも安定しました.

オイル消費も減少し,プラグも6本ともよく焼けています.シフトリンクブッシュ交換によりシフトフィールも改善されました.

リフレッシュ前後の変化をひとことで表現すれば「シャキっとした」といえます.アルファロメオ(イタリア車)はブッシュ類で味付けする傾向があるため,ゴムが劣化してくると全体のフィーリングも悪くなります.そのことに気づかずに乗っていることもあるのですが,きちんと手を入れれば見違えるように良くなるのもまたアルファロメオなのです.

この164QVにはLussoのポリシーとメカニックの情熱が載っています.将来このQVが他のオーナーの手に渡り,エンジンが下ろされることがあったとしても恥ずかしくない仕事をしたいと考えています.

リフレッシュ後の164QVに hisata も乗ってみました.本革シートにデンと座るとスクエアなデザインのダッシュボードが視界に飛び込んできます.シートとミラーを合わせてイグニッションを捻るとV6ユニットが目覚めます.アイドリングも安定しています.シフトを1速へ入れ,クラッチをミートすると大きなボディはたやすく動き出します.

信号待ちで軽くアクセルを煽るとフゥワン,フゥワンと吹け上がりの良さに感激.音量は控えめなのが大人のセダンを感じさせます.早めのシフトアップを心がければ何事も起こりませんが,2速で 4,000rpm あたりまで踏み込むとクォ〜ンと「おお,アルファだ」.気を抜くとレッドゾーンまで一気に回りそうなので慌てて右足を戻します.

回転半径が大きいといわれる164ですが,よほど狭い道に入らなければとくに気になりません.ダンパー設定を AUTO から SPORTS モードにするとシャキっとした走りになります.トルクがあるので1速で迂闊にアクセルを入れるとホイルスピンを引き起こします.

決して軽いクルマではありませんが,1速から2速,3速と引っ張るとどんどんスピードが上がっていきます.右足を理性でコントロールできる大人のセダンです.ふだんは家族に奉仕し,ときにはこいつで子供に還る.そんな乗り方がお薦めです.