ALFA ROMEO 164 Super 24V REPORT No.3
渋滞を避けるため,元日の夜,わたしは単身164で東京へ戻ることにしました.

■ フリーウェイ500km

吹田ICから名神高速に乗るとスムーズに流れています.おまけにトラックがいないからすごく走りやすい.お気に入りのMDを聴きながらのクルージング.低音は不足しているものの中高音は予想以上にまともです.

それにしてもこんなにラクチンでよいのでしょうか.

ゆったりしたシートは両側にアームレストがあって姿勢を変えたいときに便利.また流れが遅くなったあとの再加速もカンタン」でストレスがありません.

こんなにもフツーのセダンに乗ると「カーナビつけようかな」「オーディオアンプを入れようか」などという妄想を抱いてしまいます.155だとオーディオに凝っても高速ではエンジン音で聞こえないから無意味だったのに,クルマが変わった途端コレだもの.刺激の少ないクルマに乗ると退屈するから自分で刺激を付け加えたくなるようです.

あれこれ考えながら流しているうちに2時間経ったらしく名古屋です.この調子なら浜名湖まで一気に走れそう.この164はLUSSOでタイミングベルト交換をしてから名古屋〜大阪を往復したわけですから交換後500km近く走ったことになります.そろそろ回してもいいかな?(苦笑)

言葉ではうまく説明できないのですが,V6エンジンって特有の振動がありますね.アクセルを踏み込んだときにつま先にルルルルルッと振動が伝わってきます.TS 8Vではひとつながりの振動だったのにV6にはリズムがあります.ただし24Vに関しては3,000rpmあたりで巡航しているとアクセルペダルの振動は皆無です.

流れが遅くなったときに3速にシフトして踏んでみました.4,000rpmを超えるとエンジン音が盛り上がってきてアクセルのツキも良いのですが,どうも無理をさせているような感じがして疲れます.「高速での伸びがすばらしい」というEワヤマさんの言葉がこんな状態を指しているとは思えません.

「そうか,4速(Dレンジ)のまま踏めばいいんだ!」

見通しの効く直線で4,000rpmあたりまで踏んでいくと「こりゃいいぞ」.なりを潜めていたエンジンが自己主張をはじめて1,500kgのボディをぐんぐん引っ張っていきます.164は「フツーのセダン」という羊の皮を被った高速クルーザだったのです.

★ ★ ★

絶対的なパワーも加速もそれほどすごいわけではありません.でもわたしは164を見くびっていたようです.たいしたことないだろうと思っていたのです.高速でスピードを出すとまっすぐ走らないだろうくらいに思っていました.

でもハンドリングには不安はありませんし,乗り心地もちょうどいい.コーナーリング云々しなければ足回りに不満も出ないでしょう.ほんとは5,000rpm近くまで回してみたかったのですが,4,000rpmから踏んでいくということは160km/hからの加速になるので怖くてできませんでした.そりゃ200km/hだって出るでしょうけれど止まることができません.

スピードを出せば相応に緊張感が増していきます.そういう意味では刺激的です.

トップで走行中に追い越し加速のためにアクセルをベタ踏みするとキックダウンして5,000rpm超で引っ張ります.親の仇のごとく踏みつけていればシフトアップしないみたい.これだけパワーがあれば日本の道路では困ることはないでしょう.

24Vエンジンのおいしいところは3,500rpmから5,000rpmまで,かな? 肉にたとえれば霜降り.脂が乗っているから回転を上げても味が薄れない.足の先まできっちり身の詰まったズワイガニ.高回転域のフィーリングを犠牲にしない贅沢で重厚感のあるエンジンです.

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