ちょうどLUSSOが引越し中で,しかも新店舗でのオープン前日.ゆっくり話ができるはずもなく,細切れの雑談をTalkにでっち上げるしかないと思っていたら深夜にEワヤマさんから電話が入って「話を中途半端にしておくのはキライなんです」.律儀な人です.
- ■ 164 Talk
「164 Super 24Vを3週間ほどレポートしてきたのですが,ずばりお聞きします.164のどこがいいんですか?」 「164は1988年から出てきたんですけど,その当時の日本のセダンにまた乗りたいとは思わないけれど164はまた乗ってもいいかなと思わせてくれるんです.それに当時は500万円もするようなクルマは買えなかったけれど,いまは値下がりして手が届くようになってきたこともあります」 「安いというのはトラブルが多いから人気がないという意味では?」 「トラブルが多いことで有名な車種というのは逆にやりやすいんです.壊れる個所がわかっているから事前にコストが予想できる.それはマセラティにも言えることで,買う前から心の準備ができます(笑)」 「わたしのSuper 24Vは5年落ちにしては程度がいいですね.丁寧に扱ってもらっていたのがわかります.Superは一般に年配の方がオーナーであることが多いのかもしれませんね」 「164のようなクルマを余裕があって持っていた人のクルマと,買い換えることができずに仕方なく持っていた人のクルマは見ればわかるんです.前者はきれいで,後者はいろんな意味で傷だらけです.若い人が乗っていたクルマも傷だらけのことが多いです」 「中古車探しは縁とかタイミングがありますね」 「そう,新車はおなじクルマを出すことができるけれど,中古車はそれ1台.おなじように程度のいいクルマが出てくる保証はありません.だからこそ面白い」 「新車といえば日本車のディーラーはお客さんから初期故障だとクレームがつくとクルマそのものを交換したりするとか」 「ユーザーがクルマを買った責任を丸投げしてしまうのはどうかと思います.それを許してきたディーラーにも責任があるでしょう」 「まるで家電製品扱いですね(苦笑)」 「昔ディーラーに勤めていたときに当時の支店長からよく言われたんです.”164のようなクルマを買ってくださる奇特な方は大事にしなくちゃいかん”と」 「中古車情報をみると164って100万円以下でもたくさん売られていますね」 「ええ,88万円とかありますね.でもそれを買って3年乗ろうとしたら確実にあと88万円かかります.しかも最初から180万円で買ったクルマのほうが絶対にいいんです」 「工場にあった164QVは以前LUSSO Talkで走行距離が12万kmだと話していたクルマですよね.年末に納車されたのにどうして戻ってきたのですか?」 「パワステが壊れたんです」 「いきなり?」 「いえいえ,納車前からだめになるのはわかっていたんです.部品の入荷待ちだったんです」 「164のパワステが壊れたらさぞかし重いのでしょうね」 「ええ,むちゃくちゃ重いです.曲がりたくないです.でもそれをお客さんは自分で乗ってみえました.いろんなことがあってもどんどん乗り越えていって”これくらいなら大したことないだろう”ってわかるようになっていくんですね」 「LUSSOのお客さんでもちょっと気になる程度なら連絡はメールですものね.緊急事態でなければ電話しないでしょう.わたしもそうですから」 「そうなんです.だからぼくも毎日メールをチェックしなくちゃいけないんですけど…(ごにょごにょ)」 「164に関するEワヤマさんの話を聞いていると,当然ながらわたしとはスタンスがちがいます.わたしはあくまでオーナーで,Eワヤマさんは案内する人.オーナーはクルマとおなじ目線でモノを見るけれど,案内人はもうすこし広い視野で見てますね」 「ぼくはクルマを売る人じゃなくて,上手に案内できるようになりたいんです」
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「さて,このレポートもNo.15まででわたしなりの結論が見えたわけですが,Eワヤマさんとしてはどう思われますか?」 「ATにしたことで削った楽しみをなにかで埋めないといけないんですね」 「わたしが考えているのは,ひとつがリアの車高を下げること」 「初期モデルはみんなリアがすこし高いんです.それ以降はそんなことはないんですけど.164は車高をちょっと下げると雰囲気がガラっと変わりますね.かっこよくなります」 「車高を下げようとしたら足回りを替えないといけないんでしょ? 足回りを固めたくはないんです.乗り心地重視でいきたい」 「車高を下げたいならバネだけ替えればいいです」 「リアの2本だけでいいの?」 「いえ4本ともです」 「いくらくらいかかるかな?」 「バネが4本で5万だとして,交換が1本7500円だから」 「全部で8万くらいですか.タイヤが交換時期になったときに考えようかな」 「ええ,パーツが安く手に入るときでいいんじゃないですか」 「もうひとつ考えているのはオーディオ.サブウーファというのをつけてみたいんです」 「155よりも静かになったから音楽も楽しめますね.それはぼくもいまちょうど考えていて,ショップの人と相談しているんです.本格的なものじゃなくて純正にちょっと手を加えて音を良くしてみたい」 「そうそう,そんな感じ.ウーファのためにトランクをつぶす気はなくて全部で10万円くらいでライトチューンできれば十分.ALPINEからコンパクトなサブウーファが3万円で出ているから自分でつけてみようかと思っていたんですけど,そういう話があるならやめておきます.今度お願いしますね」 「時間をみつけて一緒にそのショップに行きましょう」 「いつになることやらわかりませんが(笑),足回りとオーディオという楽しみが2つ用意してあればしばらくはいけそう.その間にトラブルが起きなければいいけどね」 「なにも起きないんじゃないですか.hisataさんの164のパワステが壊れたら”機械が壊れたんだ”と思えます.壊したんじゃないと」 「お蔭さまでクルマを丁寧に扱うクセがつきました.いまのところ不安な個所はありません.ビリビリ鳴るワイパーブレードを換えたいくらい」 「わかりました.部品を取り寄せておきます」 「164レポートについては,目を見張るような発見はもうないかもしれないけれど,SuperはSuperなりの楽しみ方があると思うんです.Superは尖ったクルマじゃないことを確認したのが前回までのレポート.次回からは,それを受け入れた上でどんなふうに楽しめるかを伝えていきたいと思います」 「じつはぼくも個人で家族のために164を買うんです.薄紫の164FLで右ハンドル」 「164に右ハンドルなんてあったんですか?」 「ええ,あるんです.少ないですけど」 「だったら164オーナー同士ということでまた話ができるかもしれませんね」 「だから,それまで164レポートを終わりにしないでください(笑)」