ALFA ROMEO 164 Super 24V REPORT No.19
アルファロメオの中でもどちらかというとマイナーで,本当のところをあまり知られていないクルマのことを伝えていくのは,埋もれかけたクルマの発掘作業みたいで面白いのです.

■ どこが好き?

最初はあれほど「快適だ」と感激した164も,いまでは馴れてしまってなんとも思わなくなってしまいました.他のクルマから乗り換えると快適さを実感するのでしょうが,いまのわたしにはそれもありません.164がわたしの基準です.

これは155も同様ですが,ペダル位置に合わせてシートを下げたり,背もたれを倒すとステアリングの12時部分に手が届かなくなります.交差点で曲がるたびに上半身を起こすのも格好悪いから背もたれは立て気味にしています.イタリア車ってのんびりポジションを取らせてくれません.でも革シートは滑るので疲れてくるとお尻が前にズレていきます.それもまたラクチンだったりして.

以前もお話したように乗り心地は悪くありません.でも155同様,踏み切りを渡ると突き上げが来るので「やっぱりアルファだわ」とわかるのです.細かいところを詰めていくと164は穴だらけ.その一方で安楽で快適なサルーンだとも思う.官能的じゃないから164はつまらなくて好きになれないかというとそんなことはない.好きです.気に入ってます.

それじゃ164 Superのどこが好きなのか.

まっすぐ(直線的)なデザイン
豪華ではないけれど安っぽくない内装
サイズ相応の重厚さ
人を乗せても恥ずかしくないこと
高速道路でも音楽が楽しめること
ドロドロと太いアイドリング
踏めばリミットまで吹け上がる24Vエンジン
ATだから渋滞でもラクチンなこと
ATだけどSPORTモードがあること
自重で勝手に閉まる重いドア
盗難防止装置のフリをする集中ドアロックシステム
パワステとはいえ手ごたえのあるステアリング
脱いだ上着を脇に置ける幅広ドライバーズシート
小ぶりなアームレスト
大きなグラブボックス
たくさんあるスイッチ
たくさんあるインジケータ
でもインジケータはあまり信用できないこと
ボタンひとつで開く給油口
ウィンカーのカチカチ音が小さいこと
ステアリングを戻したときにウィンカーキャンセラーが155よりも早く働くこと
バックミラーが畳めること
前後ともドアポケットにフタがついていること
サイドブレーキを戻してもきちんと閉まらないフタ
後席中央のトランクスルーリッドに付いてる黒くて長い袋
トランクを閉めたら自動的に消えるのかどうか不安な照明
足元の広さは155と変わらない後部座席
それでも立派なファミリーカーになること
汚れの目立たない地味なボディ色…にもかかわらず存在感があること
運転席のドアを開いたときに164が「ようこそ」と言うこと

Superに乗ると10歳くらい年を取ったような気がします.だから相応に落ち着いたフリして運転しています.

★ ★ ★

アルファロメオがフィアット傘下に入って最初に出してきたクルマが164.「どこからどこまでがアルファなのか」は人によって定義が異なると思いますが,わたしの感覚では164と155が最後のイタリア車.(その後のモデルは欧州車)

だとすると,わたしはアルファロメオ以前に「イタリア車が好き」だということになります.

そういえばFIAT RITMOも面白かった.FIATがVW GOLFを目指して作ったクルマがどうしてああなっちゃうのか疑問ですが,そこがイタリア車の愉快なところ.RITMOに乗ると10歳若返りますね.だから腰が痛いとか,腕が痛いと泣き言をいってはいけません(笑).

164はとくに目立つクルマじゃないけれど,いまでも決して古臭くはない.Eクラスや5シリーズではなくあえて164を選ぶ.そんな人生もまたステキだと思いませんか?

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