ALFA ROMEO 164 Super 24V REPORT No.42
ロビン・ウィリアムズ主演の「アンドリュー」を見ました.機械(ロボット)とはなにか,人間とはなにかという主題が興味深い映画でした.

■ 164と離れて

いまわたしは164の代わりにDAIMLER DOUBLE SIXに乗っています.

164はブレーキパッド交換を含めてLUSSOで点検整備中です.オイル交換も定期的に行っているので特に大きな問題はないと思いますが12ヶ月点検のつもりでお願いしてあって,年明けには戻ってきます.

ダブルシックスから164に乗り換えたときにどう感じるか自分でも楽しみなのですが,ある程度想像はできます.ひとつは出足の軽さ,軽快さに驚くでしょう.やはり2t近いクルマを発進させたり止めたり曲げたりするのはひと仕事です.それでも一旦動き出してしまえばダブルシックスもそれなりに軽快さを楽しめます.

ダブルシックスに乗って考えが変わったことがあります.

わたしのAT嫌いが治りました.ATの楽しみ方がわかったのです.

たとえばダブルシックスのV12エンジンの力を引き出すには3速ATの仕組みとクセを理解しなければなりませんでした.逆にいえば,その場の道路事情に合わせてうまく引き出してやれば5.3リッターのV12が遅いはずもなく矢のように飛んでいきます.

ただし,漫然と走らせていてもだめです.どうすれば2速にキックダウンするのか,1速が使われるのは発進・停止時だけなのか.ATに仕組まれたプログラムを解読するように,すこしずつATのクセを把握していくと走らせ方の幅も広がっていきます.

「ATなんて踏むだけじゃないか」「誰にだって乗れるじゃないか」と心のどこかで低く見ていましたが,そうではないことに気づきました.

発進してひたすら直進するだけであれば誰が乗ってもおなじかもしれません.でも公道はいろんな場所で刻々と状況が変化します.その中をエンジンのパワーを上手に引き出して滑らかに走らせる.それもひとつの醍醐味だと思うのです.

強引に周囲を威圧して前に出るのではなく奇麗に走りたい.

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「MTだから能動的」で「ATだから受動的」だとは思わなくなりました.

そのエンジンのおいしいところを探るにはいろんな回転で走らせてみる必要があります.MTならば簡単なことがATでは意外とむずかしかったりします.164の電子制御4速ATとちがって,ダブルシックスは機械式の3速ATです.2速や1速にホールドすればいいといっても,ミッションに負担をかけるような強引なことはしたくありません.そのクルマにとっても「気持ちのいい運転」をしてあげたい.

人間のわがままを一方的に押し付けて壊したくないという気持ちと,神経質になるあまりクルマのポテンシャルに気づいてやることもできないのは気の毒だという気持ちがあります.実際のところ,わたしはクルマの様子を探りながら踏むようにしています.怖いと感じたらそこでやめます.動物の本能を信じる作戦です.(笑)

ATは便利な反面,エンジンの性能を引き出しにくいことがある.それをマイナスだと考えるか,工夫することでもっと上手に走らせる余地があると考えるか.そんなところから楽しみ方って変わってくるのではないでしょうか.

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