そんな話をＥワヤマさんとしていたら「たしかにラジエターから若干水漏れがあるんです．今度ラジエター交換しましょうか」ということで転ばぬ先の杖ということで交換してもらいました．

その際，クーラントにWATER WETTERという添加剤を入れてみました．リザーブタンクの上に空容器を立ててありますが，クーラントが赤いのがわかるでしょうか．それが添加剤の色です．「水温が２０％下がる」という謳い文句らしいのですが，Ｅワヤマさんいわく「添加剤だけでそんな都合よくはいかないでしょう．水温は以前とおなじ温度まで上がると思います．でも最高温度に達する時間が２０％余分にかかるんじゃないでしょうかね」．

たしかに渋滞では以前同様１１０℃までほとんど振り切れますが，１００℃からの上昇が遅くなったような気がします．Ｅワヤマさんの予想どおりといったところ．気のせいかもしれませんが，すくなくとも悪くはなっていません．

これで冷却系については問題ないでしょう．

と安心していたのですが，８月はじめに出先で１６４を駐車場に入れようとしていると．．．「なんだ，いまの音？」

ハンドルを切りながらバックさせていると，エンジンルームからわずかな煙とともに焦げ臭い匂いがしてきます．と同時にハンドルが重くなっていきます．クルマを下りてみるとオイルらしきものが漏れています．パワステオイルが漏れているのです．

駐車場の入口で動けなくなると困るのでそのままバックさせて駐車スペースに収めました．最後の切り返しはかなり重かった．ついにパワステポンプが逝ってしまったのだと，覚悟はしていたので驚きはしませんでしたが「さて，どうしたものやら」．

Ｅワヤマさんに連絡して事情を説明し，自宅まで５ｋｍくらいなので運転して帰ることにしました．パワステの壊れた１６４のハンドルはすごく重いですが動かせないことはありません．できるだけ曲がり角の少ない道を選べばいいのです．

自宅に帰って考えてみると，帰宅しようとハンドルを切ったときにウィーンとモーターのような音がしていました．あれがポンプだとするとパワステポンプは壊れていないのかもしれません．そう，ポンプが壊れるのと，オイルが全部漏れてしまうのは別問題．これはパイプが外れるか，破れてパワステオイルが全部抜けてしまったのでしょう，たぶん．翌日リザーブタンクを見たら空っぽでした．

さて，どうやって修理するか．１６４が故障して困ったのは納車以来はじめてです．Ｅワヤマさんに名古屋から積車で引き取りに来てもらうのはたいへんなので上野毛のグースネックさんにお願いすることになりました．

結果，やはりパイプが破れていたそうです．

１６４の場合，ただのゴムホースなのでどうしても劣化するとか．「そこは修理したのですが，ステアリングラックにすこしオイル漏れがあるんです．これを直すとなると費用と時間がかかりそうです」．それは以前からあるので，今度名古屋へ立ち寄ったときにLUSSOで対策を考えてもらうことにして１６４を戻してもらいました．

ステアリング回りには不安が残っていますが，心配していても仕方ありません．すくなくともパワステオイルが吹くことは当分ないでしょう．１６４が戻ってくるまでの１週間，クルマなしで生活してみて不便でした．都心に向かうのは電車でいいのですが，都内でも電車やバスでは不便なところ，通っていても深夜になると帰れなくなるから出かけることができません．こんなふうに言うと夜遊びしているみたいですね．夜遊びにちがいはありませんが，等々力のスロットレーシング場のことです．そこの駐車場でオイルを撒きました．（ごめんなさい）

やっぱり１６４はいいです．ホッとします．疲れていても，お気に入りのＣＤを聴きながら移動する空間は快適．心優しい相棒です．

今回痛感したのは，クルマには「安心して乗りたい」ということ．

出先で立ち往生するかもしれない不安といっしょには走れません．もしも１６４の状態がもっと悪くて，あちこちトラブルが起きていれば手放すことを考えるでしょう．修理費用がかさむことも問題ですが，精神的衛生上良くないのと，不安で遠出できないのでは役に立ちません．

一般のクルマ屋さんでは，こういうとき乗り換えを薦めるのでしょうね．そうしてコンディションの悪い１６４を下取って，ろくに整備もしないで流すから，つぎのオーナーの元でもっとひどいことになって故障神話が形成されていくわけです．

そうではなくて，１６４なら１６４の弱点と楽しみ方を伝えて，その理解者に乗り継いでもらいたい．クルマを「持つ」ことや「買う」ことが目的ではなく「楽しむ」ことが目的なのだから．

１６４には次回９年目の車検まで乗るつもりでいます．その頃には65,000kmくらいになっているでしょう．そこまで耐えるようLUSSOで整備してもらおうと思っています．