今回,東京では3年と3ヶ月暮らしたことになります.そのまえは7年住んでいたので合わせて10年.その中間に名古屋に5年いましたから,故郷の大阪を離れてすでに15年も経つのですね.これまでずっと「根は大阪人だ」と思ってきましたが,年末年始に帰省した折,大阪の雰囲気に馴染めなくなっている自分に気づいてショックを受けました.故郷を飛び出して生きてきて思うのですが,東京に住めば東京の人間になり,名古屋に住めば名古屋人になるわけではありません.自分はどこに住んでいても自分なのです.
- ■ お気楽アルファ
- 自分のクルマとして164が3台目.まえの155同様,164も乗れる間は乗りそうな気配.白状すると乗り換えは億劫なのです.
生まれてはじめての愛車ROVER MINIは,小さいクセにやたらお金がかかるので手放しました.客がほしいというクルマを売って,困って修理に持ち込んだら「こんなもんですよ」という,そんなクルマ屋さんからクルマを買ってはいけないということを学びました.クルマ選びでは,自動車より人を見なければなりません.クルマに罪はなくても,納得して楽しむことは到底できません.
155をEワヤマさんから買うとき「売るときにシルバーは赤よりも安くなってしまいますがいいですか?」と訊かれました.そのときは「売るときのことはどうでもいいです」と答えましたが,あらかじめ聞いていれば覚悟ができます.164に乗り換えるときは「都内で乗られるときに心配なのはパワステポンプの寿命です.これが壊れると20万円くらいかかります」と聞きました.
この先,どういうことが考えられるか,そのときにいくらぐらい費用がかかるかを教えてもらえれば心積もりができるから,いざというときにも慌てません.あとは弱点をかばうような運転を心がけて寿命を延ばすだけです.それが「上手に乗る」ということではないでしょうか.
Eワヤマさんはクルマも診るけれど人も見ています.メカニックさんといっしょに診断し,修理や整備に関する提案をしてくれます.一見,大雑把な性格に見えますが(失礼)内面はデリケートなのです.クルマを直すにしても,安易にアッセンブリー交換するのではなく,安く上げる工夫をしたり,ただ修理するというのではなく,こちらの性格や家庭の事情も考慮したうえで「こうしたほうがいいのでは?」と言ってくれます.ただ,そういう関係になるには時間がかかります.お互いのことを知るだけでなく信頼関係も必要です.お店と客の関係であっても,結局は人間同士の付き合いですから.
★ ★ ★ 運転を楽しむなら164でもQVのほうが楽しいし,アルファ以外にも乗ってみたいクルマはあります.でも,乗り換えることを想像すると「この気楽さは捨てがたい」と思うのです.ゆったりした室内と革シート.パワフルなV6エンジンを積んでATで転がす164はアルファロメオの中でも最もお気楽なクルマではないでしょうか.周囲のクルマに引け目を感じることなく,しかも肩肘張らずに乗れるクルマ.そういう意味では貴重です.
3年前に名古屋から東京へ越してきて「MTが楽しめない」とあきらめて164に乗り換えたのは,走りやすい名古屋を知っていたから我慢できなかったのだと思います.東京しか知らなければ「都内はこういうものだ」と思ってMTに乗って,週末は箱根あたりを走っていたことでしょう.でも東京で暮らしたからこそATの有り難味も知りました.そうでなければ名古屋でAT嫌いを通していたでしょう.(万事,塞翁が馬)
愛車の調子が良くて不安材料もない状態が最高です.腫れ物に触るようにびくびくしながら運転するのはつまらないし疲れます.ここぞというときにはアクセル全開できるようにしたい.それがお気楽クルマであるための条件です.そうでなくちゃ楽しくありませんからね.