MASERATI RACING

マセラティ2.24Vのハイチューン版として、シャマルと同時にデビューしたマセラティ・レーシングを、99年にルッソがイタリアから中古並行輸入したクルマです。エンジンは2リッターV6ツインターボ。当時輸入した1台が戻ってきたので乗ってみました。
ウッドステアリングのすべすべした手触りが気に入ってます。クラッチが交換時期なのもあってリセットが必要ですが、内装の華やかさと外装の悪っぽいムードが好対照。必要以上のパワーを叩き出す力を秘めている点も魅力でしょう。

通常「マセラティはアブナイ」というとき、トラクションコントロールが装備される3200GT以前のモデルを指します。冗談でも誇張でもなく、とくに雨の日はアブナイ。ちょっと踏み過ぎると直線でもリアが流れます。理性でコントロールしてください。

左のウィンカーが切れていたので交換してもらいました。樹脂のカバーをとめてあるネジがプラスチック製で、古くなるともろくなって割れてしまうので交換しなければなりません。長持ちすることよりも美しいことを優先しているような気がします。
じつはリアのストップランプも片方切れているのですが、それはあとで直せばよいでしょう。それよりもリフトアップして点検してみると。
写真ではよくわかりませんが、クラッチのベアリングがズレて傾いてしまっています。ここが壊れるとクラッチが切れなくなります。
というわけでリセット作業に突入しました。まずはミッションを下ろして洗浄中。
ミッションとクラッチを外したあとのフライホイールです。
古いクラッチカバーとクラッチ板。左のクラッチカバーの中央についているのが問題のベアリングです。PULL式なのですが、ベアリングをダイアフラムに固定している部品が外れかけています。ベアリングが外れてしまったらクラッチは切れません。
カムカバーも開けてガスケットを交換しておきます。
古いタイミングベルトが見えています。
ラジエターと電動ファン。ホース類は交換します。
ウォーターポンプも交換します。インテークを外さないと交換できないパイプ類もすべて換えておきましょう。
古いウォーターポンプの内側。ベアリングにガタが出ていましたし、パッキンもぼろぼろ。このままでは水漏れします。
サーモスタットとウォーターポンプを新調しました。
新しいタイミングベルトを張りました。
赤く塗装したカムカバーを載せました。
黒い亀のようなインテークを清掃中。
インテークを取り付けました。
こういうときでないと交換できないエンジン奥のパイプはすべて新しくしました。
ステアリングラックを取り付け、破れていたブーツを交換します。
プロペラシャフトとマフラーも付けました。
エンジンがかかってひと段落。

試乗したところ、クラッチは軽く、シフトレバーのガタもなくなり、エアコンも効いて、水温も安定していました。きちんと手が入ったクルマは安心感と信頼感が増します。愛車に裏切られないためには大事なことだと思います。