現行ミニ・クーパーS(MT)の「クラッチが焼きついた」とご連絡があり、自走できないとのことで引き上げてきました。 クラッチがまったく使えないわけではありませんが完全に滑っています。これでは正常な走行はできません。 クラッチマスターもレリーズシリンダーもオイル漏れなどしておらず、クラッチそのものの損傷だと判断し、クラッチ交換を行うことになりました。走行29,000kmですが、トランスミッションを下ろします。 | |
クーパーSはインタークーラー付なのでエンジンルームはぎっしり。作業性が良いとは言いがたいです。 | |
ドライブシャフト、サスペンションを外しました。 | |
右フロントのタイヤハウスの隙間にウィンドウ・ウォッシャータンク(黄矢印)が押し込んでありました。 | |
サブフレームを下ろしました。 | |
トランスミッションとフライホイールを外したあと。 | |
外したクラッチ板とクラッチカバー。 ひどい状態です。レリーズベアリングの樹脂部分が熱で溶けています。クラッチが減って滑り出した状態で走り続けたのでしょうか。クラッチ板そのものもボロボロです。 | |
レリーズベアリングの新(右)と旧(左)です。 | |
脆くなったクラッチ板は引っ張ると剥がれてきます。2枚貼りあわせられたクラッチ板は通常、素手で引っ張ったくらいでは決して剥がれません。 | |
トランスミッションを見ると、クラッチフォークのブッシュが熱で溶けていたので、これも交換しなければなりません。 写真にあるようにゲトラグ製ミッションです。 | |
クラッチフォークブッシュの新(下)と旧(上)です。 かなり高温にさらされたようです。 | |
新しいクラッチカバー(左)とクラッチ板(右)です。 | |
新しいクラッチがつきました。 半クラッチを多用するとクラッチ板がはやく減りますが、その減り方はアクセルの開き方に左右されます。半クラッチを使うことでスムーズな発進やシフトチェンジができるので「半クラッチはいけない」などと神経質になる必要はないと思います。ただ、半クラッチ状態ではあまりアクセルを開けず、クラッチから足を離してからアクセルを踏むように心がけましょう。 クラッチが滑り出すと、いつものようにクラッチをつないでいても坂道発進がつらくなります。思うように前に出ないのです。「あれ、クラッチが滑ってるかも」と感じたときは早めに主治医にご相談ください。 | |
トランスミッションが元通り載りました。(前から見上げたところ) | |
お待たせいたしました。完成です。 |