第1回はダブルシックスをレポートすることになった経緯についてお話しましょう.

■ 英国セダンに乗りたい

わたしはいま東京で ALFA ROMEO 164 に乗っています.155から164へとセダンを乗り継いできているので,このまま「セダンを極めてみたい」という気持ちがありました.「それならベンツでしょう」という話もあったのですが,どうしても食指が動きません.その一方で,Eワヤマさんと「つぎは英国車に行ってみたいですね」という話もありました.

そしてEワヤマさんの提案がダブルシックスだったのです.ダブルシックスとは文字通り「ダブル6気筒」で12気筒モデルです.

どうしてXJ12じゃなくてDD6だったのかはよくわかりませんが,なんとなく気分で決めたのではないでしょうか.新しいジャガーでは壊れないからつまらないというのもあったようです.わたしも現行のS TYPEよりはまず,すこし前のジャガーに乗ってみたかった.あの流麗なスタイルが好きなのです.

DD6の価格は年式や走行距離,程度によってピンキリ.その中でも93年式の最終モデルで走行距離が19,000kmという上物をEワヤマさんは見つけてきました.安いDD6を買って苦労するのは嫌だから,世間で500万円以上で取引されているようなクルマがどんなものか確かめてみたかったそうです.このあたりがEワヤマさんらしいところ.

最初は自分で乗ってみるつもりだったそうですが,例によって自分ではレポートが続けられないだろうということでわたしに「1ヶ月ほど164と交換しませんか?」.それはわたしにとって渡りに船ですから「もちろん喜んで!」.

ALFA164の次はジャガーに乗ってみたいわたしとしては「DD6は普段の足として使えるのか」「12気筒は必要なのか」「ジャガーに貫禄負けしないか」(苦笑)など確かめてみたいのです.

とりあえず機関の調子はいいそうですが,わたしが乗ってレポートすることで,程度のいいDD6がどれくらい安心して乗れるものなのか大体わかるはず.93年式で平気だったらもうすこし年式が古くても大丈夫かもしれないし,93年式でトラブルが多いのであれば手を出しにくいクルマだということになるでしょう.それをLUSSOとしても自身で確かめてみたいわけです.

たしかに「セダンを極めてみたい」とは思いましたが,いきなりこんなクルマをレポートすることになるとは夢想だにしませんでした.世の中なにが起こるかわかりません.だから生きてて楽しい.(笑)

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11月に名古屋へ行ったときにそのDD6に乗せてもらいました.Eワヤマさんにホテルまで迎えに来てもらったのですが,やっぱりいいですね.何がって,雰囲気が最高.思わずリアに乗りそうになりました.(笑)

夜で暗かったので細かいところは見えませんでしたが,木目パネルとメッキがピカピカしていて,初めての愛車MINIを思い出しました.思わず(イギリスに)「帰ってきたんだ」.丸目ライトなのもいい.

助手席に乗り込んだときに思ったより天井が低いように感じたけれど,室内はゆったりしていて,とにかく静か.ホッとする空間でした.

食事しようとレストランの駐車場に入るとボディの大きさに戸惑います.大きさに慣れるまでは慎重に運転したほうがいいですね.東京の狭い裏道は大丈夫かなぁ.ALFA164より全長が50cm長くなります.ちょっと心配.

そのDD6とは都内の渋滞と東名高速の往復を共にすることになります.レポート中に体験したことは,良いことも悪いこともみんなお伝えするつもりです.次回からわたしがステアリングを握ります.

年明けまでの不定期連載ですが,興味のある方はどうぞお付き合いください.