スポーツカーだけど疲れなくていいな,と思うのはポルシェのボクスターです.片意地張らず気軽に乗れるポルシェだと思います.都内ならばATで決まり.

■ 乗り心地

最近クルマの楽しみ方が変わってきました.

ひとつは,他人との差別化にこだわらなくなってきたこと.もうひとつはホッとできるクルマが良くなってきたこと.

「他人と同じなのはイヤだからパーツを換えたい」という欲がなくなってきました.そのままの状態で楽しめそうなクルマがいい.長く乗るなら「サブウーハーを付けたい」といったことはありますが,他人と差別化するためにイジろうとは思わない.あくまで自分が楽しむため.そもそも人が乗らないようなクルマや限定モデルを探せばいいのです.

そのままの状態のクルマを楽しむコツは,細かいことは気にしないこと.

今回のDD6もそうですが,メーターパネル照明がちょっと暗いとか,トランクにすこし傷があるとか,シートが小さめだとか,そんなことは些細なこと.いちいち「直さなくちゃ」といきり立つこともないでしょう.デイムラーにレカロのシートは似合わない.それも個性だと考えるのです.市販車は自分専用に誂えてあるわけじゃない.粗探しするよりも好きなところを探したほうがいい.

ボディの長さに馴れてしまえば,バックで車庫入れするにも後方視界は良好.バックミラーも大きめで見やすい.都内の裏道ではミラーが電動で格納できなければ困ると思っていましたが,あまり狭い道は避けるようにしていることもあって,いまのところ畳む羽目になったことはありません.そのときは窓を開けて手で畳めばいい.

「こうでなくちゃダメ」と思い込んでいることでも,意外に簡単なことで解決することもあります.ちょっと考え方を変えれば済むことも多いのではないでしょうか.

鳥はなぜ電線から落ちないのかわかりますか?

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以前はピュアスポーツが好きでした.サーキットを走るためにあるようなクルマが面白かった.自動車の評価なんてどうにでも言えるじゃないですか.白を黒と言い張ることだってできる.それがどうにも気持ち悪くて,実力のちがいがタイムとしてはっきり出るサーキットの潔さが好きでした.

ALFA155TSは運転を楽しめるセダンでしたが,都内の渋滞では楽しめないことが苦痛になってきて,ATのALFA164に乗り換えました.そして「くつろげるクルマ」もあるのだと知ったのです.それはわたしにとってカルチャーショックでした.最初は退屈で仕方なかったのですが,いつのまにか「ホッとできるのもいいものだ」と思うようになっていました.

緊張してワインディングを走らせるのもいいけれど,くつろいで市街地を移動するなかにも楽しみを見つけることができます.サーキットや峠を攻めなければ意味がないようなクルマじゃない.ただ停まっていても運転席に座っていることが心地よいクルマ.ダブルシックはそういう類のクルマです.

クリスマスイブの今日,家族で築地市場まで出かけました.今回,子供たちは互いに算数クイズや国語クイズを出し合っていたので平和でした.帰りに隣でウトウトしていた妻が(裏道を抜けたあと)「途中で曲がったのも気づかなかったわ」.そういうのを「乗り心地がいい」というのでしょう.それはダイムラーの足回りと横Gがかからないようにしている運転のおかげ.同乗者がいるときは急ハンドル,急発進はご法度です.

乗り心地とは瞬間の状態を指すのではなく,乗っている間が心地いいかどうかを指すのだと気づきました.

わたしはDD6のふわふわした乗り心地は好みではないのですが,それは個性として認めます.そのままの状態も悪くないのですが,あえて手を加えるとしたらブレーキ強化です.ブレーキが効けばそれだけアクセルを踏むことができるようになるから.(笑)