エリーゼが当たり前のように自分の前にあることが不思議な気持ちにさせてくれます。96年の夏に本国に入れたオーダーからはや1年半、今では数台の仲間も増えて色とりどりのエリーゼに囲まれることもあります。あんなに待ちこがれていたエリーゼが目の前にあり僕の意志で目覚めさせれる、そして一緒に走り出せる。なんだかわからない興奮を与えてくれます。きっと好きなクルマを手に入れた人なら少なからず感じるこんな気持ちが味わいたいからクルマを買う、そして乗るのでは?なんて思います。
私はLOTUSが好きです。
クルマ歴を振り返ってもLOTUSが多いのがそれを物語ります。今はクルマを売る仕事をしていますが本当は買う方が楽しいことも知っています。そんな私の感じる「LOTUSってこんなクルマです」レポートを番外編として綴ります。
★ ★ ★ LOTUSを楽しむためには楽しむための環境作りが必要です。基本的に乗用車としての要素がかなり削られていますので乗用車が他に必要となるのです。そしてこれがかなり大切なこととなります。クルマが持つ本来の用途に対してそれ以上を望むことから生じる不満を解消しておくことがスポーツカーを楽しむ基本だと思います。そしてこれがクリアできれば後は乗り越えやすい問題がほとんどなのではと思います。
今までに乗ったLOTUSの中でもエリーゼは一番です。
EUROPA、ESPRIT、ELANそれぞれにLOTUSとしての意味はあるのですが今までで一番楽しめると感じたのはエリーゼです。トラブルで乗れない時間、古いクルマだから掛かる手間、お金、信頼性。これらの要素が精神的にプレッシャーを掛けて来るために楽しさが削られていくのです。逆に言うとエリーゼではこれらが解消されているおかげでクルマが持つ本来の性能を純粋に楽しめるんです。やっぱりスポーツカーと言われるクルマでアクセルやブレーキを思いきり踏めないというのは大きなマイナスです。歴代のLOTUSに足りなかった部分がこれなんです。お金をどれだけ使ってもいいのなら解決できると思いますがそれでは寂しすぎます。そしてごく限られた人の楽しみで終わってしまいます。
エリーゼの一番いいところはこの問題がクリアされているところです。安価で楽しめることと引き替えにした部分もあります。例えばエンジン。ローバー製のKユニットを載せています。自社製に拘るならば引っかかるかもしれません。しかしこれと引き替えに手に入れた物として信頼性、チューニングパーツの数があります。考え方一つです。EUROPAも最初はルノー製のエンジンでした。
メンテナンスを考える上で部品の値段と供給の問題は重要です。特にエンジンに関しては最も重要です。エリーゼのアクセルを思い切って踏める理由はここなんです。LOTUSのクルマ作りで好きなことの一つに軽さに拘っている事があります。これはクルマの性格や性能を決定づける最大の要因だと思います。
私がLOTUSを好きな理由の運転する楽しさも軽さが与えてくれた物だと思います。EUROPAを運転した時になんだこれはと感じたのはハンドリングの素晴らしさやアクセルの開閉に対してのレスポンスの良さでした。なんて楽しいんだと感動したことは今でも忘れられない思い出です。しかしEUROPAでこの楽しさを追求できるほどの収入はなく、その上トラブルに陥ったときのかけ込む先もなかったのが影響していたので(これが一番の悩みでした)心からは楽しめなかったのです。
エリーゼでは運転を存分に楽しめます。軽さが与えてくれた物をその人なりに楽しめるクルマなんです。運転が上手いとか人より速く走れるとかは関係なく楽しく走ることを感じれるクルマなんです。
勿論もっと楽しいクルマはあります。でも同じくらいの価格でここまで楽しませてくれるクルマはそうそうないのではと思います。ある程度の日常性を持ちつつ非日常性を兼ね備えたクルマがLOTUSであって欲しいという私のようなLOTUS FANの独り言でした。
(この文章はあくまでもLOTUS FANの独断と偏見で構成されています。)