故障神話 [GHIBLI]

1994 MASERATI GHIBLI (6,000km)

はじめて乗ったマセラティはギブリ.唯一こだわったのは「FIATに囲われる前のモデル」という事です.正直いうと,わたしもすこし不安がありました.「デフが壊れると80万」とか「ミッションが壊れると100万」と,納車とともに具体的な数字がもれなく付いてきたからです.

自動車屋のわたしですら不安になるクルマです.「一般ユーザーが買うのをためらうのも無理ないよなぁ」.しかし「ここでひるんでは元も子もない,ままよっ」て感じでした.

「いままで自分が乗り継いできたクルマたちがきっと助けてくれる」と信じて始まったギブリとの生活は,それほど大変なことではありませんでした.たしかにALFAとは違いますが,それは耳に聞こえてくる音や,体に感じる振動の違いであり,クルマとしての根本は同じです.ただ,クルマを走らせるときに少しだけ注意すべきことが多いのです.

デファレンシャルに対して

デフが壊れて高い修理費がかかるなら壊さないように乗ればいいのです.基本は低速時のラフなアクセルワークを控えること.たとえば90度のカーブ(交差点など)を曲がるときに気を付ける.Uターン時も同様です.アクセルターンなんて(やりたいけど)やめた方がいいです.とにかくデフに対しては気を遣うことを癖にすることです.きっと次に生かせる癖だと思います.あとは,デフオイルをクルマに奢ってあげればいいでしょう.

トランスミッションに対して

これまでに聞いたミッショントラブルから推測すれば,一概に乗り手だけの責任とは言えないものも少なくありません.リバースが入らなくなる事がいちばん多いようですが,たしかにリバースに入れる時は壊れてもおかしくない感じはあります.ミッションを扱う基本はソフト&スゥイート.これが基本です.わたしは走行中のシフトチェンジもダブルアクセルで回転を合わせてソフト&スゥイートを心掛けました.それを面倒だと思う人はMASERATIはやめておけばいいだけのことです.

パワーステアリングに対して

パワステに関しては全ての車種に言えるように,据え切りを避けることと,切ったままの状態で駐車などをしないことを心掛けていれば大した問題ではないでしょう.ただし,基本はこれまたソフト&スゥイートです.

パワーウィンドウに対して

これも全ての車種に言えることですが,一気に下げないことです.車ごとに個体差はありますが引っかかりが有るようなら特に注意して3段階位に分けて動かす事をお薦めします.

エンジンに対して

エンジンについては色々なケースが考えられますが,わたしが直面したトラブルはギブリに関しては《チェックエンジン》インジケータが点灯したくらいです.これはメカニックいわく,時々あるらしい.燃料が少ないときに出ました.その後,燃料を満タンにして高回転まで回したら消えました.

いろいろ書きましたがこれはあくまで最低限のお約束です.本気でMASERATIをと考えるなら,自分に対して言い聞かせるおまじないだと思います.

とにかく,ギブリは最高のイタリアンクーペであることを保証します.(Eワヤマ)