恋人の名字はマセラティ


私は今マセラティ家の222.4Vと恋をしています。個人的に発表当時から気になっていたクルマだったのですが当時の価格は785万円、もちろん私の手が届く相手ではなく眺めているだけが精一杯のクルマでした。

今回、縁があって手に入れてしまいました。そして一つの大きな発見がありました。私はマセラティが好きだということです。私にとって通算3台目のマセラティが教えてくれました。という訳で私はマセラティに関してこれから多くの体験と所感をレポートとして綴っていきますので興味のある方はお付き合いのほど宜しくお願い致します。

■ 4Vと付き合うこと

ルッソとしてはこれまでギブリ、ポルテ、スパイダーザガート、シャマル、SR等92年式以降のマセラティのメンテナンスを行ってきました。

故障神話を打ち崩すべく多くのトラブルを体験し、解消することを繰り返してきました。これによりマセラティのサービス面が持つ不安を把握できてきました。弱い部分を知り、必要なだけのメンテナンスを施す事がマセラティと上手に付き合うもっとも大切な事だと言えます。

私は今回、4Vと付き合うことになりましたが基本的にはマセラティという括りで付き合っています。その中で4Vが持つ味を伝えられたらいいのにと考えています。

■ 4Vって?

222シリーズでの最強モデル。次のモデルでギブリが出てくるのですが、一足お先にその心臓をボンネットの下に隠し持ったクルマが4Vなのです。可変ダンパー、外気温表示付きメーター、専用アルミホイールや同色ミラーなどSRに対して小さな違いもあります。

乗ってみて一番わかりにくいのは可変ダンパーの段階ごとの変化。1と4ならかろうじて感じれますが2と3の違いは微妙すぎてわかりにくいように感じます。

輸入台数が少ないのでいいクルマが残り少なくなっています。今すでに4Vを持っている方はそのクルマを管理している間は心から可愛がってあげて欲しいものです。次なるオーナーや世代のために。

クルマとしての大きな特徴はギブリでは最悪の相性だったゲトラークの5Fミッションを操作してトルクで乗るクルマと言うことでしょう。足回りのセッティングに関してもハンドリングに関してもスポーツカーのそれを望んではいけません。雰囲気とかカタログデータとかから想像してクルマを決めてしまうのは間違いだと教えてくれるクルマです。

■ マセラティの噂

マセラティって誤解が多いクルマだと思います。まるで噂がクルマ全体を包んでいてそれが人々の間を渡り歩くうちにどんどん大きくなってしまうためでしょう。

噂の中には事実も多く含まれてはいます。そして誤解もそれ以上に多いのです。ルッソでメンテナンスしながら色々なトラブルを体験し色々なオーナーから話を聞きました。そして一つの答えを出しました。

「クルマにも問題はあるけれどそれは乗り手と直し屋のレベルが問われているだけである」

ディーラーのセールストークにおいて「壊れます」とか「遠くに行くのは違うクルマで」なんて聞いたことがあります。正直に言っているのは分かるけど言い過ぎだったのではないかと思います。壊してしまう人にやんわり断るトークだと言うことを忘れてしまっていたのでしょう。ディーラーがこれなんですから普通のクルマ屋さんはもっと引きます。そして噂は広まってしまうのです。

私は噂を事実だと勘違いし自分のクルマ選びの選択肢を減らしてしまっているのはもったいないと思います。基本的なメンテナンスの大切さと必要性を理解できている人なら乗って楽しめるクルマだと言う事実を伝えておきます。