Maserati REPORT No.7

クアトロポルテ


最近私はクアトロポルテに乗っていました。97年式の時計付き最終モデルと言われるタイプのクルマです。それまでのモデルとは内装に変更があり、ブレーキもキャリパー、ローターともに変更されているのが目で見る事のできる変更です。実際にはこの後に発表されたエボルツォーネの基のモデルと言えるほど小変更を多くされているようです。 乗り味は大きく変わってはいない様に感じましたが安心感は何故か増えています。オルタネーターは改良型が装着されていますし、ブレーキはよく効きます。この二個所が与えてくれる安心感は乗り手にクルマを味わう時間を与えてくれるようです。

■ マセラティもクルマ

色々な謎が修理の数と実際の体験によって解き明かされてくるとクルマそのものが持つ魅力や味が冷静にみえてくるようになりました。 初めてギブリを乗ったころからは考えられないほどの余裕を今は感じています。壊れたらどうするかなんて考えなくて乗れるほど楽な事はありません。マセラティだからと言う先入観を捨てて初めて見えてくる味を少しだけ伝えてみます。

まずは小さな事にくよくよしたり気にしたりしない事です。心配なのは誰でも同じなんですが乗り手が恐がっていると壊れてしまうなんて話があります。まずはマセラティとがっぷり組み合う事です。 所詮クルマなんですから乗り手次第だと思います。そして気になる事は残したままにしておかない事です。あとここだけ手を入れれば安心だと思うならそこまで手を入れて乗るほうが正解です。たくさんの人が乗るクルマには自分のクルマだけなのではないかという心配事が少ないだけの事です。アルファロメオだって6年くらい前は今のマセラティと似たような状態だった訳です。それが今やアルファ、アルファと至る所で見たり聞いたりできるようになったのです。 マセラティがそうなるとは思えませんが少なくとも可能性はあると思います。

■ マセラティの持つ魅力

はっきり言って大袈裟すぎるほど豪華に仕立てられています。以前中世の貴族の馬車はきっとこんな感じなのではと書いた事がありますが今もそう思っています。革と木を奢られて仕上がった内装は朝から乗るのを躊躇させられるのは私だけでしょうか?乗る度に夕方からのクルマだと感じます。照明が必要になると俄然いい雰囲気が出てきます。実用に何ら耐えられない訳ではないのですが遊びに行くと言うほうがぴったりです。そんな気持ちを盛り上げるのが内装から感じる最大の魅力でしょう。

■ 乗りこなせるか?

最初に書いたようにクアトロポルテに乗っていました。乗ってはいましたが果たして乗りこなせていたのかは未だに分かりません。短い時間で出せる答えではないので分からないのですがクルマとしては十分乗らせてくれると感じました。クルマが醸し出す雰囲気と動力性能に満足できれば乗りこなせる時はそんなに遠い話ではないでしょう。一般的に言う使えるマセラティとしてはクアトロポルテは合格なんです。クルマは乗る上での合格点を出している訳ですから後は乗り手がそれを上手に使いさらりと乗りこなす事ができるかどうかです。ミドルサイズのセダンとして今一番乗ってみて手強そうなクルマ、そんな気がしています。

■ 内装クリーニング

クアトロポルテで今迄はプロに頼んでいた内装クリーニングを自分でやってみました。特に汚れていた訳ではないのですがアイボリー内装のオーナーがかなりいい感じで仕上げたのを見たのでちょっと影響を受けてやってみた訳です。

実際にやってみると思っていたよりは汚れていた事に気がつきます。 汚れが落ちていくのが新鮮で結構楽しみながら仕上げてしまいました。革のシートがあまり好きなほうではなかったのですがマセラティと付き合い始めてから知らない間に好きになっていました。今回自分で革の手入れを体験して新しい楽しみを知りました。自分のクルマのシートがきちんと手入れしていい感じになっていくのを楽しむくらいの気持ちで革シートとは付き合ってみてはどうかと教えられたのです。革シートの世界に持っていたイメージをクアトロポルテに塗り替えられてしまいました。