そして...


出会いと別れはいつも突然訪れるものである。私と222Eの出会いがそうであったように、今回突然別れが訪れたのです。いつか訪れることはわかってはいたのですが、修理中に嫁ぎ先が決まってしまうのは結構つらいものがあります。なぜなら、車の修理をしている時、修理前とどれだけ違うかを体感するのは結構楽しみであるし、修理をすれば、またしばらく楽しいカーライフがやってくるという期待と安心があるからです。しかし、今回の場合それはありません。が、調子が良い状態で次のユーザーの元へ嫁がせるのもたいへん気持が良いもので、今までとは違った楽しさと言うかうれしさがあります。

ということで、今回が最終回になりますが、センターベアリング交換と以前から気になっていたエンジンの不調(アイドリングがばらつき、最近カブリ気味であること)の修理に関してレポートします。

まず、センターベアリングの交換から。

以前のレポートでも述べましたが、エンジンマウントとミッションマウントを交換すると、加速時にゴッゴッという異音が発生。これは、マウントのへたりにより、エンジン・ミッションの位置は長年下にずれていたわけで、それとつながっていたドライブシャフトの位置も当然下にずれてしまっていると考えられます。今までは、これらが全体的にさがっていたので、異音は発生しなかったのですが、エンジン・ミッションが正常な位置に戻ったことにより、ドライブシャフトの位置だけがすれている形になり、そこから異音が発生していると考えられます。今回、このドライブシャフトの位置を正常に戻すため、ドライブシャフトのセンターベアリングを交換しました。(写真1

写真は交換後のセンターベアリングですが、中央の穴の位置がずれているのがわかると思います。このずれによって、本来まっすぐであるはずのドライブシャフトが曲がっている格好になり、そのため、加速時に異音を発生していたのです。交換後は、この異音はなくなりました。

次に、エンジンの不調の修理です。症状としては、エンジンが温まるとカブリ気味になり、アイドリング時に、黒煙を吐くようになりそしてバラツキ始め、時としてそのまま止まってしまうことがあるというものです。このカブリ気味になる原因としては二つ考えられます。ひとつはガスが濃いこと、もうひとつは火が弱いことです。まず、火が弱い方を疑ってみました。火が弱いと言っても原因はいろいろありますが(電気が弱い、プラグが悪い、デスビが悪いなど)バッテリー・プラグなどは以前チェックしたので、今回デスビを見てみることにしました。するとデスビキャップにひびが入っていました。(写真2

この状態ではヒビの部分から電気がリークして本来の電気量が確保できず、結果火が弱くなる可能性が高くなります。とりあえず、このデスビキャップを交換してみました。すると調子はかなり良くなり、一安心。が、しかししばらくするとまた黒煙を吐き始めるではないですか。原因はほかにもありそうです。今度はガスが濃い方を調べることにしました。

ガスが濃くなる原因としては、考えられたのは各種センサーの不調です。そして、今回不調だったのは吸気量を測るセンサーで、このセンサーの不具合により本来もっと吸気量が多くなければならない時、吸気量が少ないため、結果としてガスが濃くなっていたのです。このセンサーを交換すると、以前は黒煙を吐き、異臭を放ち、目まで痛くなる始末だったのが、見事に改善され、それと同時に、走りも以前よりかなり良くなりました。ここまでやって、我222Eは嫁いでいったのでした。

今回私がこの222Eのレポートを通じて感じたことは、マセラティを日常の足にすることは可能であるということです。ただし、今回のレポート車のように以前の整備状況がはっきりわかっていないような車に関しては、初期の段階である程度の出費は覚悟しておいたほうが良いでしょう。もちろん、車をどこまで仕上げるかによって、この出費は大きく異なります。そして、このような初期整備のほかに予防整備も大切であると思います。

マセラティライフをエンジョイしている人は、多かれ少なかれ予防整備をしているような気がします。そして、このような整備をするにあたって、やはり経験とノウハウがあるショップで行うべきだと思います。なぜなら、予防整備などは、経験とノウハウがなければできないし、故障に関しても、どこが壊れているのか発見するにはやはり経験が必要です。特にマセラティは他の車とはちょっと違った原因で、故障を体感しているケースもすくなくなく、慣れていないメカニックでは原因が見つからないケースもあります。

そして最後に、車と接する態度として車を信用することと愛情をもって接することが何より大切だと思います。いつも壊れるのではないかと心配して乗っているのでは楽しくもありません。また、先に述べたような予防整備はこのような不安を払拭するためにするものであり、それでも車を信用できないのは車に対して失礼です。もちろん、機械ですから壊れることも充分考えられますが、それはそれとある程度割り切るのが大人ではないでしょうか?(人間でも機械でも完璧なんてありえないのですから・・・)

そして、汚れたら洗車するとか、乱暴に扱わないとかそういった細かい気配りが、故障の原因の早期発見や何よりの予防になると思います。これがアメ車からイタ車に乗り換えて一番感じたことです。これからも、今回勉強したことを踏まえて、カーライフをエンジョイしていきたいと思います。死ぬまでにそんなに多くの車に乗れるわけではないのですから、楽しまなければ損ですよね。