RITMO REPORT 番外編
番外編としてEワヤマさんのレポートをお届けします.レポートというより本の「あとがき」みたいなものですから,まずここをお読みになってもいいと思います.

■ 10年前のクルマ達を忘れていませんか?

リトモレポート番外編という事で私なりのリトモレポートをしてみたいと思います。

そもそもこの企画はhisataさんとのクルマを肴にした雑談から生まれました。現行車種や新車種については多くの雑誌がインプレやレポートをやってますが少し古くなるとなかなか取り上げてもらえない、そしてそのまま埋もれてしまうクルマに目を向けてみようというのが目的です。

リバイバルインプレッションをするために乗るのではなく、オーナーとして乗ることを前提にしたレポートなんです。そしてこのレポートを通して読んで頂いた方が少し古めのクルマに対して興味を持てればいいのです。 クルマの楽しみ方なんて人それぞれですから、その中で自分にあった楽しみ方を見つければいいのです。今回のリトモを例にして考えてみます。

大前提は10年物で、乗り出すまでに掛かる費用が100万円以内であることでした。それを踏まえて楽しめそうなクルマと言うことでリトモになりました。実は他にも候補はありましたがリトモになったんです。リトモは噂では壊れるとかお金が掛かる、お金を掛けても直らないとか等あまり良い噂は聞けません。事実はどうなのか興味がありました。

そんなクルマを普段の足にする事を一番の目的にしました。内容はレポートの中にありますので省きますがリトモを通じて勉強したことがあります。それは今迄に色々な苦労話やトラブルに関する噂が多かったクルマほど手直しの無駄が省けることです。過去のトラブルのデータを元に要所に対して手を入れていくことができるのです。無駄な出費を抑えることは大切です。

10年物のクルマを乗るために必要なことも分かりました。始めにしっかりと手を入れることです。できる限り維持費を抑えるためにもここは省けません。しかもこの時からクルマとのつき合いは始まります。修理をしているときからクルマに関われることで乗る前にある程度の心構えができるわけです。これは乗り始めてから予想されたトラブルに出合ってしまっても慌てないで対処できるので非常に有効です。これはいわゆる雑誌とかカタログには載っていないオーナーへの特別装備(オプション)となります(笑)。

リトモをレポートしていく中でトラブルネタが期待を裏切ったのは始めの一歩にあったと言うわけです。

■ Eワヤマとリトモ

私はリトモに関しては詳しくない方の部類でした。勿論自分で買って乗ったことはないですし、最近誰かに薦めた記憶もありません。昔、友達が乗っていたのと後輩に一台納めたくらいです。彼らの言葉を思い出してみて悪いことは言ってなかったことを不思議に感じていたほどです。

今は違います。hisataさんのレポートにあるように気にしたら乗れないけど楽しむ気があるなら楽しめると思っています。普段の足のままサーキットも走ってみました。楽しいです。速くはないですが面白いです。できれば少しモデファイをしてみたいと感じてしまうほど楽しめます。

今時こんなクルマは絶対に生まれないと思えることが楽しさを増幅させてくれます。やんちゃなクルマなんだけど憎めない、これが私の感じるリトモです。バケットシートが意外に似合うし、街で同じクルマに遭わないし、結構いい音させてるし。憎めないクルマです。

クルマの楽しみ方のうちの乗る、いじる、攻める、そしてはまる事までを味あわせてくれそうなクルマがリトモでした。

■ 2度目のサーキットラン

峠のレベルでは十分に楽しめたリトモですが再度サーキット走行会に持ち込んで楽しんでみました。

リトモを仕上げるにあたりタイヤをブリジストンのRE710kaiにしてあります。いわゆる国産のハイグリップタイヤをチョイスしたわけです。10年間無交換のアブソーバーにハイグリップタイヤはどんな感じかが知りたかったわけです。

場所は岐阜県にあるYZサーキット。しかも参加台数103台なんていう大きなイベントなんですが何処を見回してもノーマルっぽいクルマはいません。3週間前に初めてリトモで走ったときにある程度の感じは掴んでおいたのでそのイメージを大切に走ってみました。

1コーナーはスピードを乗せて走るコーナー、後は4コーナーまでほとんどヘアピン、S字を抜けて緩めの最終コーナーへ続く全長1100メーターのショートコースです。

1コーナーでいきなり710の良さに助けられました。まるで接着剤でも入っているのかというグリップでかなり踏んでいけます。この感覚は走っている間ずっと持続してますし、それでいてコントロールがし易い。なかなかよいタイヤです。

このタイヤのおかげでアブソーバーのへたりが良く分かります。これでもかというくらい沈み込んでいるのが体感でき、アブソーバーはその機能を果たしません。だからと言ってダメだとは思えない。これだけのタイヤはアブソーバーのへたりをその性能である程度カバーしてくれる事を知りました。

ときどき「古いクルマにはハイグリップタイヤは向かない」なんて話を聞いたりしますが、今回のサーキット走行で一つだけ分かったことがあります。それは本人の使い方や乗り方なんだという事です。確かにリトモのコーナーリング性能には少しもったいない観はありますがタイヤのおかげでカバーできる部分も多いというわけです。10年物に乗ってみてタイヤの使い方を学ぶのも楽しいと思います。

この日はかなり暑い日でしたが走行中はオーバーヒートすることなく走り切れました。但し75との追いかけっこを終えてパドックに戻ってからお漏らしはしました。原因はリザーブタンクからのお漏らしでしたが冷えてから水を入れておしまいと言う程度の物です。これ以外のトラブルはなくサーキット走行会を終えました。

■ 最後に

今回のリトモレポートでクルマの楽しみ方の一つが味わえればと言うのが私の思いです。少し古いクルマを10年物ととらえ多少の不安と期待をレポートして頂いたhisataさんのレポートはこのリトモの新たなオプション(特別装備)になりました。(笑)

新車では味わえない楽しみを味わって欲しいです。

古いからとか壊れると聞いたからで視野に入ってこなかったクルマ達はまだまだたくさんあると思います。そんなクルマを楽しむことは難しくないと思います。(但しクルマと自分のレベルが合わないときは苦痛です。)

少し古いクルマを上手に乗れるようになることは新車を買ってから壊さないで長く乗れるようになることにも繋がります。古いとか新しいとかに関係なくクルマ選びの幅が少しでも拡がるといいです。

リトモに必要な宿題を2つ残しておきます。これだけすれば最高に楽しめます。

アブソーバーの交換これは乗られる人の好みで変わりますがバネと一緒に固めて良いでしょう。
多少の諦めこれが一番大切かも?夏場に涼しい顔で快適に乗りたい等、空間快適性能を求めないこと。

リトモレポートはこれで終わりますが「10年物レポート」として気になるクルマをこれからもレポートできるときはやりたいと思います。第2弾はシトロエンBXです。また番外編でお会いしましょう。