1992 ALFA ROMEO 164L

「ガレージレポート」を始めてから、このコーナーをごらんになったお客様からリセットに関するご相談や依頼がすこしずつ増えてきました。そして164の登場です。今回、50万円の予算で行なう164のリセットをご紹介しますが、これは「多少コンディションが悪くてもリセットしてから乗ればいい」とお勧めするものではありません。

164と155の中古車価格は同程度だとしても、部品代は164のほうが高価です。「アルファ155も164も同じ100万円ならオートマの164にしよう」などと考えないほうが無難です。極端な例では、エアコンフラップのステップモーター交換が155では約6万のところ、164では約25万(右ハンドルは約33万)かかります。同程度のリセットを施すにも164は155の倍以上かかります。50万円でも満足なリセットはできないのが現実です。

かつてわたしが乗ったSUPER 24Vは非常にコンディションが良かったために大きなトラブルに遭わずに楽しめたということのようです。パワステオイルが(パイプの破損により)抜けてしまったことがあるのと、あとはラジエター交換したくらいです。それで都内の渋滞と世田谷の裏道通勤を切り抜けたのですから、いま思うと奇跡に近いかもしれません。(おおげさ?)

グリーンメタリックのALFA164Lは、お客様が他店にて購入後、修理依頼のために来店され「気持ちよく乗りたい」というご要望を受けて入庫しました。隣でリフトアップされているのは155TS 8Vです。

主なメニューは、タイミングベルト交換、タペット調整、パッキン類交換、エンジンオイル&クーラント交換、等。立ち往生などしないように、走るために不可欠の部分が優先です。

これが3リッターV6エンジン。横置きのAT車です。6本のインマニ(インテークマニホールド)がきれいです。ちょっとくすんでいますが、これはきっとメカニックさんが磨いてくれるでしょう。
リフトで上げてエンジン下部をみるとオイル漏れしています。これも直します。
奥バンクの上にあるエアインテークを外したところ。このあとインテークマニホールドとカムカバーを外します。

タイミングベルトが見えました。横に縞模様が出来ているのはベルトが痛んでいる証拠。これはすぐに交換しなければなりません。
古いタイミングベルトを外しました。
新しいベルトをかけて、張り具合を調整しました。
元通りに組みました。カムカバーがきれいになっていますし、インマニも磨いてあります。作業時間が限られていても、こういうところは譲らないんですね。
右フロントタイヤハウスの奥に見えるベルト。

このあと試運転したところ、アイドリングも安定し、タペット音も静かになり、エンジンのレスポンスも良くなりました。機械は正直です。きちんと手を加えれば応えてくれます。

フロントのブレーキローターを研磨しました。
リアのブレーキホースを交換します。
右リアタイヤハウスの奥にある燃料フィルタを交換します。ブレーキパッドが新しくなっているのもわかります。
新しくなった燃料フィルタを(横からではなく)うしろから撮ったところ。
ラジエターのサブタンクの新(左)と旧(右)。古いものはエンジンルームの熱で変形してキャップの締まりが悪くなり、全体に変色してクーラントが外から見えにくくなっていました。
これで(緑色の)クーラントの量もちゃんと見えるようになりました。
最後に試運転に同乗しました。

エンジンは静かでスムーズ。おまけにボディも静かな(異音がしない)ので驚きました。これならお世辞抜きに快適なセダンです。ブレーキパッドが馴染むように何度か強めにブレーキを踏んで当たりをつけていました。

やっぱり164は良いクルマです。(壊れなければ)