2001 RENAULT CLIO 2.0 RS

納車整備としてクラッチ交換、タイミングベルト交換を行ないます。「クリオのエンジンを一度下ろしてみたかった」ということで今回も下ろします。

週末にいらしたお客様が「納車整備のためにエンジン下ろすのか。すごい店だねー」。たしかにちょっと変わってるかもしれません。(笑)

バンパー外して左目を取り外しているところ。
ガイコツみたい。
エンジンを下ろすためにはマフラーも外さなければなりません。わたしは日曜大工の経験しかありませんが、上を向いて作業するのはつらいものです。
エンジンルームの様子。ラジエターも「邪魔だぁ」といって外してしまいました。
これがそのラジエターと電動ファンです。
しばらくするとエンジンが下りていました。
エンジンを前から見たところ。
エンジン右側のドライブベルト。右上がオルタネーター、右下がエアコンのコンプレッサーです。オルタネーターの左がテンショナー、その左がパワステポンプ、その下がウォーターポンプです。今回、ドライブベルトとその下にある小さなアイドラーもガタがあるので交換します。
その上にあるのがタイミングベルトです。
気がつくとミッションが外れていました。
クラッチ板とレリーズベアリング。クラッチは滑りはじめていてすごく乗りづらかったです。
フライホイールです。周囲の歯車が2段になっていて、手前(小さいほう)が回転センサー用、奥(大きいほう)がセルモーター用になっています。
取り外したパーツ類。
サブフレームがやけにきれいだと思ったら塗装してありました。
いちばん上の2個のカムシャフトプーリーにかかっているのがタイミングベルトです。
また深夜にインテークをポート研磨したようです。誰もそこまでやってくれとは頼んでいないのですが、これも「いいクルマを作ろう」というルッソの付加価値かもしれません。本人いわく「趣味」だそうです。
あまり滑らかにしすぎてもいけないとか。
マニホールドも工具が届く範囲は磨きました。

次にオーナーになる方が見学にいらして喜んでらっしゃいました。

これが新しいウォーターポンプです。
古いウォーターポンプの内側。この羽根が回転して冷却水を送るわけです。
ブローバイタンクを外すとカムシャフトが見えました。カムカバーを外すとカムシャフトが外れる構造なので今回はカバーは外しません。
当初タイミングベルトを交換する予定ではなかったのですが、よくみるとベルトの厚いところと薄いところがあるのと、カバーと干渉して磨り減った部分も見つかったので交換することにしました。
翌日、タイミングベルト、ドライブベルトも交換が終わっていました。

昨日、隣のリフトではALFA155TS 8Vのクラッチ交換のためにミッションを下ろしていたのですが、今日はもう試運転していてビックリ。このクリオの部品待ちの間に8Vを先に片付けてしまったようです。作業としてはこちらと同様で、クラッチもシフトもスムーズになりました。

エキマニのガスケットは金属製です。(上が新品)
ドライブシャフトも付いて元の姿に戻ってきました。
エンジンマウントを2ヶ所交換して載せました。
ボンネットがアルミ製だということを調べるために磁石を当ててみたところ、たしかに付きません。フロントフェンダーも付かないのでよくみると樹脂製でした。フロント周りのボディは軽量化されています。
下回りの組み付け。右手でもっているのがシフトリンケージです。
完成しました。

きちんと手を入れてあげればクルマは長持ちします。逆に、乗りっぱなしにされたクルマはガタガタになってしまいます。乗り方によって大きく差が出ますが、機械ですからはっきりしています。動物の細胞のように自己再生機能はありません。

ルノースポールの3本線に色を入れてありました。メカニックのささやかなこだわりです。

アルファ164Q4やクリオRSのように良いクルマ、楽しめるクルマをリセットして次のオーナーさんに手渡すことは楽しいです。この「ガレージレポート」の前段階で、新オーナーさんに対する(いわゆる)コンサルティングが行なわれ、メカニックからの「これだけやるべき」といった提案と合わせてリセットメニューが決定します。自分の思い入れとコンディション作りのバランスを取って、納得のいく乗り方ができるのです。これを中古車の新しい楽しみ方として今後も提案していきます。