ALFA ROMEO 156 TS SeleSpeed

ALFA156セレスピードが走行中突然シフトできなくなってJAFにて入庫しました。

右フロントから見上げたところ。トランスミッション(黄矢印)を下ろします。

メカ 「テスター等であらゆる原因を探った結果、トランスミッション内部に問題があるようなので、お客様とご相談の上、トランスミッションを下ろして点検することになりました」

二人がかりで下ろしました。

メカ 「簡単に下ろしたように思えますが、意外に重労働。すでに何台か作業しているので、ふたりで連携して作業すれば早いものです」

反対側から見たところ。
(左から)クラッチカバー、クラッチ板、フライホイールです。
クラッチ板は結構減っているので交換します。周囲に放射状に切ってある溝が浅くなっているのがわかるでしょうか。
ミッションもクラッチも外されてエンジンブロックだけが残っています。

メカ 「オイルの滲むバランスシャフトシールをシーリングして修正します。いっしょに作業しないと二度手間になってお客様の負担が増えてしまいます」

さて、ミッションのOHです。
次々に分解されていくので、まるでマグロの解体を見ているようです。
はい、開きました。
ミッション内から金属の破片が2個出てきました。すごく軽いのですが、これは一体なに?
シャフトの支点がこうなっていなければいけないのに割れてしまって、
こうなって破片が飛んだわけです。
そうなるとシャフトにガタが出て正常にシフトできなくなって噛み込んでしまいます。シフトが入らなくなるか、抜けなくなるかのどちらかです。

この問題については147セレスピードのレポートで指摘してありました。

この場合、トランスミッションケースの交換になります。(左が新品)
問題の個所は厚く補強されています。
反対側のケースも同時に交換します。そうしないとネジ穴などがうまく合わないのです。

メカ 「さぁ、すべての部品の組み換え開始です」

その夜のうちに新しいケースで組み換え完了。
元どおりミッションが載りました。
見たところ、ふつうのマニュアルミッションです。

セレスピードのハイドロ(黄矢印)が見えています。この油圧でシフト操作します。

メカ 「ここが違うわけです。最大油圧は約50Barあるので、下手に配管を外すと怪我します。また、組み付けも専用ツールとテスターを使わないと、位置がきちんと認識されずあとでトラブルが発生します」

完成です。

メカ 「オーナー様にたいへん愛されているクルマです。これからも可愛いがってあげてください」