ALFA ROMEO 156 V6 6MT (hisata)

LUSSOに156が入ったので金曜から日曜まで試乗させてもらいました.「マニュアルにこだわってみた」ところがLUSSOらしいかな.

アルファロメオというと,わたしにとってはALFA155TS 8V(過去の愛車)とALFA164 SUPER 24V(現在の愛車)のイメージが強いのですが,はじめて156に乗ってみて時代が変わったことを感じました.

キーに組み込まれているリモコンボタンを押すと10メートルくらい離れていてもドアロックが開きました.164の赤外線リモコンとは大違い.右のドアを開けて運転席に乗り込むと,164から乗り換えたこともあって「狭苦しいな」.でも155のときはこうでしたっけ.164がゆったりしすぎてるのです.

グレーの本革シートは意外に柔らかめ.室内の独特の匂いが鼻についてしばらく窓を開けてました.

運転席であたりを見回してみるとシートの右側にトランクと給油口のオープナーがあります.「これ会社のライトバンといっしょだ」.ダッシュボード回りを見てもちゃんとしています.「これほんとにイタリア製?」.日本車だと言われたら信じてしまいます.

ギアをニュートラルに抜いてクラッチを踏んでキーを捻るとボーっと低い排気音が響いてきます.「6速だからバックは...」シフトノブの下のリングを引きながら右下に入れるとリバースです.

1速に入れて発進し,2速で踏むと「うゎー速い!」.(踏み過ぎ注意報)

中古車とはいえ,まだ慣らし中みたいな車なので,Eワヤマさんに携帯からメールで「どこまで回していいですか?」(笑).ついでに「これ,マフラー換えてます?」.

あとで聞いたら,最初あまり静かだったから手元にあったマフラーに換えてみたそうです.そう,155V6に試乗させてもらったときは4,000rpm以上回さないとエンジン音がしなかったのに,この156V6は2,500rpmも回せば「排気音」が響いてきます.でも爆音ではなく,とってもいい感じ.5,000rpmまで引っ張ってシフトしていくとブォーンっと気分は最高.(わくわく)

エンジンは紛れもなくアルファロメオです.ボディデザインもそうですね.

でも足回りはなんか違う.この156がどんなふうに味付けしてるのか知りませんが,妙に固いのです.不整路でバタバタするのは伝統だとして(ほんとか?)155よりは当たりがソフトになっています.それなのにどうも固い.舗装の荒れている道路を走ると直進させるのに神経をつかって疲れます.

コーナーでのロールも155は最初にカクンとロールしたのですが156はそれがありません.でもちゃんと曲がります.高速のインターチェンジのループでも155よりはるかに安心感があって速いのです.この足回りはまったく別物に感じました.

街中をちょこちょこ走っていてもちっとも面白くないので名神高速の小牧から名古屋まで走ってみました.6速は高速巡航用オーバードライブですね.通常は5速までで十分.高速は路面がきれいなので走らせても気持ちいい.とにかくよく回るエンジン,よく走るクルマです.

右ハンドルだけど左足のフットレストがちゃんと用意してあるのがうれしい.アクセルペダルとブレーキペダルも近くてヒール&トウもやりやすい.スポーティに走らせたい人のことを考えてあります.アルファロメオはいつからこんなに気が利くようになったんだ!?

売れている理由がわかりました.

センターコンソールにKENWOODの1枚がけCDデッキが付いています.155はダッシュボードの上面についていたスピーカーの音が悪くて閉口したのですが,156はドアに2-wayスピーカーが付いていて155よりはるかに音がいい.ドアハンドルの前にツイーターがあるので高音もきれい.リアはフルレンジスピーカーがドアに付いています.ゼイタクを言わなければこれで十分かも.(わたしだったらスピーカーを換えてウーハー付けるけど) リアトレイに半月型の型押しがされているのは「ここにスピーカーをつけてください」といわんばかり.

そういえば,新しいALFA147には本国でBOSEパッケージというのが用意されているとか.正規輸入ALFA166は安全&快適装備てんこ盛り.サラウンドプロセッサーが10個のスピーカーを鳴らすとか.アルファロメオもクルマを売るコツがわかってきたのかな?

夜,マセラティ430に乗るEワヤマさんに着いて試乗コースの東山を走りました.ワインディングを2速で駆け上っていく感じがいい.力があるからぐいぐい登っていきます.登りきって3速で今度はダウンヒル.430のテールランプを見ながら「やっぱりイタ車はいいな」.理屈じゃなくて感覚で楽しめます.

以前EワヤマさんのLOTUS ELISE 340Rにオペル・ベクトラで着いていったときは「ちょっと待ってよぉ」状態でしたが今度は負けませんでした.満足です.(笑)

156は街乗りよりもワインディングや高速のほうがゼッタイ楽しい.運転席の腰を引いてステアリングを両手で握り直したくなります.

旧モデルのオーナーからみれば156は驚くほどよくできています.乗っていても不安感がありません.ただし昔のモデルにはかならずあった(イタリア臭い)妙なクセを把握して乗りこなすような楽しみはありません.イタリア車からヨーロッパ車,ワールドカーへ.それが自動車の正常進化なのでしょう.

156にもすっかり馴れた3日目,高速の入口で通行券を取るときにエンストしました.クラッチを踏むのを忘れたのです.21世紀のアルファロメオは思い切り油断していても楽しめます.(苦笑)