1990 LANCIA THEMA 8.32 (hatt)

ランチアテーマ8.32の熱対策に関してレポートします。

テーマ8.32は言わずと知れたフェラーリのV8エンジンをフロントに載せ、前輪を駆動させるというテーマの中でも特別な車です。

ボンネットを開けてみると、まずエンジンにかなりの部分を占領されている事に気づきます。そこで気になるのは、世間で言われているようなオーバーヒートは大丈夫であろうかということです。結論からいうと、今年の夏のように35℃を軽く超えるような気候の下ではやはり不安がつきまとう思います。(渋滞がしないとか、どんなに暑くてもエアコンは使わないという前提であれば話はちょっと違うかもしれませんが・・・。)ということで、この不安を少しでも解消できればと思い、テーマ8.32の熱対策をおこないました。

熱対策で考えられるのはラジエター及び電動ファンの増加または高効率化です。そこで、まずラジエターの高効率化を検討しました。ラジエターの高効率化といえば材質の見直しと大型化(コア増し)が考えられます。材質に関して、このテーマ8.32にはアルミ素材のラジエターがついていて、全く問題なし。大型化に関しては、スペース的には若干大型化することは可能ですが、市販されているラジエターに流用できるサイズが存在せず、どうしても大型化するのであれば、ワンオフで作るしかありません。そうなるとかなり高額になるため、電動ファンの交換を検討しました。

電動ファンは大きく分けて2種類あります。ひとつはラジエターの前から風を当てラジエターを冷却するタイプ。もうひとつはラジエターの後ろに電動ファンを設けラジエターからの熱気を吸い取るタイプ。テーマ8.32は後者のタイプでノーマルの電動ファンは写真1、今回装着した電動ファンが写真2です。

ご覧になっていただくと違いがわかると思いますがノーマルタイプは羽根がついているだけで、今回取付ける電動ファンはラジエターを覆うようにシュラウドがついています。この交換によって考えられるのは、前述の通り、8.32は熱気を吸い取るタイプの電動ファンの為、より効率的に熱気を吸い取るであろうと言うことです。このような効果を期待して装着したのが次の写真のです。ラジエターとエンジンの間がたいへん狭い為、ぎっしり詰まった感じがします。(事実、そのまま取り付けようとするとエンジンと電動ファンが干渉してしまいます。)

この交換によって得られた結果は、水温が約10℃ほど低くなりました。これによって真夏でもある程度足として使えるようになったと思いますが、炎天下で渋滞そしてエアコンを使うというような状況下では、やはり厳しいと言わざるを得ません。そのあたりはスペシャルな車だということを考慮して乗り手が気にしなければならない部分だと思います。

こういった気配りができない、または苦手という方はテーマ8.32と付き合うことは難しいかもしれません。次はテーマ8.32がほしいと思っている方はそのあたりから考えたほうが良いと思います。そうでなければオーナーも車もかわいそうですから。(September 2000)