ALFA ROMEO 164 REPORT No.2
短期レポートという半ば「お仕事」だといっても1年のうちに3台目なんて,すごく贅沢な気分で楽しませてもらってます.そしてこれは3度目の正直で「hisata がアルファに戻ってきた」レポートでもあります.

■ 秘密の"華"園

イタリア車には「華」があります.

赤いクルマが多いせいもあるかもしれませんが,シトロエンよりはアルファロメオやフィアット・アバルトのほうが華がある.一方のフランス車は「粋」ですね.「あえて豪華さを競わない粋」というのもあると思います.

わたしにとっては「華」があるのがイタリア車の魅力.「美しい華には棘がある」(当て字?)というように「下手すると痛い目に遭う」という危なっかしさも魅力のうちかもしれません.ただ,そこを追求するとアバンギャルドに堕ちてしまうのでフタしておきます.(笑)

人によってはこの「華」が鼻につくかもしれません.フェラーリなんて最たるものでしょう.わたしにとってのフェラーリの魅力はエンジンの魅力.ポピュラーな3.4リッターV8ユニットですら小型ジェット機の気分を味わわせてくれます.

アルファにはそれほどの毒気はありませんが,やはりエンジンフィールが魅力.

今回164に乗るのがすごく楽しみ.じつは納車のタイミングを2回逃しています.

1回目は,板金から上がってきて部品も揃ってルッソのリフトに上がっているのに,不動車と化したマセラティに行く手を阻まれ,2回目は,休日返上で組み上げたのにエアコンが効かなかったそうです.コンプレッサーは交換したのですが,なにやらステップモーターともうひとつ部品が壊れているらしく冷えないとか.Eワヤマさんもがっかりして電話してらして「一応乗れますけど」「いえ,この暑さですから遠慮しときます」(笑).

ルッソのスタッフの尽力に感謝しつつ「これも神様のお預け」と待つことにします.納車翌日にエアコンが効かなくなったら(ネタになるとはいえ)悲劇です.いつもはレポート車が手元に来てから公開していた連載も見切り公開しました.ここまで来て164が逃げることはないでしょう.

今回は過去2台のレポート車とはちがいます.いつもは「実際に乗るまでは先入観を持たないように」と努めていたのに,164ではそんなことよりもうれしくって仕方がない.

わたしはイタリア車が好きなのかもしれません.中でもアルファロメオが好き.

アルファはイタ車の中でいちばん気安くて乗りやすいんです.車両価格も手が届く範囲だし,心配するほどトラブルもないし,ある程度ハッタリも効く.「実用になる楽しいイタ車」なのです.

いわゆるアルフィスタではないけれど,アルファも155も大好き.164も楽しみで仕方ありません.次回こそ「3度目の正直」で納車になりますように.(祈)

■ 神秘のベール

「○○ほど乗りにくいクルマもないよな」
「え,そんなことはないだろ.乗りやすいぞ」

意見の相違の原因はこれまで主観の相違だと思っていました.だけどリトモ130TCやシトロエンBXといった10年物に乗ってきて「これはコンディションの違いが原因じゃないか」と思うようになりました.

以前ポルシェ911SCにEワヤマさんとちょっと乗ったのですが,あいにくブレーキが固着していて発進に苦労しました.ブレーキを直したら一転して乗りやすいクルマになったそうですが,その状態をわたしは経験していません.

するとわたしはポルシェを「乗りにくい」と感じ,Eワヤマさんは「乗りやすい」と感じるでしょう.とくにそれが第一印象の場合には強烈に残ります.蛇足ながら,ボディ剛性を求める方は悪いことは言いません,アルファなんかやめてポルシェに乗りましょう.ドアを閉めるたびにシアワセになれます.

たとえば,わたしがレポートしてきたリトモやBXを「○○はこういうものなんだ」なんて言われたら「そうか,リトモってひどく乗りにくいクルマなんだな」と思ってしまうでしょう.BXだってコールドスタート時の乗りにくさに閉口してしまうはず.問題はオーナーがそのクルマの本来のコンディションと現状とのちがいを理解しているかどうかです.

といっても(hisata を含めて)素人にはわかりません.

だからプロのみなさんには輸入車特有の「神秘のベール」を剥ぎ取って本当のところを教えてもらいたいし,極力トラブルに遭わずに乗れるように診てほしい.いくら好きで乗っているクルマでもトラブルばかりでは嫌になってしまいます.

164はインジェクションだからチョークで苦労することはありませんよね.オートチョークの効かないAT車は乗りにくいんです.(笑)