ALFA ROMEO 164 REPORT No.8
夏には暑苦しいかと思ったグリーンメタリックのボディ色も気に入ってきました.「赤くない」ところが hisata に向いています.

■ キレないステアリング

164をレポートしてステアリングの切れ角について触れないわけにはいかないでしょう.

じつは連載開始前にEワヤマさんが「164レポートはたぶんステアリングが切れないことなんかから入っていくのでは?」と言っていたので,そのことには一切触れずにおこうかと思っていたのです.(あまのじゃく!)

わたしも初めて164に試乗しようと駐車場から出すときに「なにこれ,曲がらないぞ」と驚きました.わたしも納車当日に体験したように(油断していると)片側2車線の道路でもUターンできないことがあります.

でもオーナーの声としてそのことが頻繁に話題に上るかというとそうではありません.理由はカンタン.慣れるのです.

結論から書くと,問題は180度向きを変える(Uターンする)ときだけです.90度の曲がり角であればさほど弱点は露見しません.ステアリングを切るタイミングが遅れないように注意すればOK.

180度向きを変えるときも(いわゆるUターンではなく)一旦バックすることで90度ずつ2回向きを変えるようにすればよいのです.対向車線を塞いで切り返すのはみっともないしアブナイですよね.一度では曲がりきれないと思ったら切り返すのが基本.その基本に忠実に運転すればいいだけです.

初めてボンネットを開けたときに「でっかいエンジンだなぁ.ミッションもおおきいわ」.どうやらそのおかげでフロントタイヤの切れ角が制限されたようです.取り回しの悪さが164に乗る心配の種でもあったのですが実際にはなんとかなります.逆にそんなことを気にしていたら164には乗れません.(キッパリ)

これは噂話ですが,164の発表当時「どうしてこんなにステアリングが切れないのか」と疑問をもった日本人がアルファロメオに問い合わせたところ「どうしてそんなにステアリングが切れないといけないのか」と聞き返されたとか.当時は「それがイタリア人の価値観か」と違和感を抱いたのですが,いまは同感です.(笑)

なお164Lに乗るにあたってEワヤマさんからは「ステアリングを据え切りしないように」とつよく忠告されております.パワステポンプを長持ちさせるためでしょう.蛇足ながらパワステ機能が死んでもステアリングは切れます.死ぬほど重いですけど慌てないように.

■ キライなアマノジャク

小回りの利くクルマがいいならメルセデスやボルボがいい.C200なんてびっくりするくらいタイヤが曲がります.単に「FRだからね」というだけではなく,ちゃんと考えてあるんだと思います.

Eワヤマさんも「たとえば家族のクルマとして10年間エコランするならやっぱりベンツ」だと言います.長く安心して使える道具だというわけです.家族の満足と乗せる側(わたし)の安心感という点では300TEなんてほぼ満点です.しかしわたしの左脳は理解するのですが右脳は「結局ドイツのライトバンじゃないか」(失礼)と拒絶するのです.

単なる食わず嫌いなのでしょう.わたしの中のアマノジャクが突っ張っているだけだと思います.若気の至りというやつですな.(わ,石投げないで!)

毎月キャンプに行くわけではありませんからワゴンでなくてもセダンで十分.それに家族が納得していれば無理して買い換えることもない.そういえば164の窓を開けようとしたらドアにパワーウィンドウのスイッチがないんです.センターコンソールにスイッチが4つ並んでいるのをみて「ベンツみたい」.

Eワヤマさんがディーラー勤務時代,ベンツやボルボに乗っていそうな40〜50代のお客さんが見えては「アルファロメオってやっぱり壊れるんだよね」と聞かれる度に不思議だったとか.「だったら来なければいいのに,やっぱり興味があるんですね」.

好きで乗っているのならそれでいい.だけど無難な線で,世間体を気にして乗るのは寂しいじゃないですか.

「アルファロメオに乗ってみたいけれどトラブルが心配だから」と二の足を踏む人も多いはず.それがイタリア基準からヨーロッパ基準への脱皮を図りはじめた164であってもまだ不安は残ります.アルファに興味があって名古屋近郊にお住まいの方は一度ルッソに遊びに行ってみてください.ひょっとしたら視界が開けるかもしれません.

さて,週末は家族で大阪まで帰省するつもりです.164で無事に往復できるかどうかお楽しみに!