1993 LANCIA DELTA INTEGRALE EVO.1 エンジンOH (Part-1)

エンジンがかからない状態のデルタが入庫しました。

このままで終わらせるのはもったいないので、きちんと直して次のオーナーに手渡すことにしました。

エンジンを下ろすため、フロント周りの部品を次々と外していきます。
ボンネット、バンパー、フロント足回りなど。他にセンターデフとオルタネータも外しました。
クレーンで吊って、慎重にエンジンを下ろしていきます。
ボディを載せたリフトを上げていくとエンジンだけ残りました。
大物を吊り上げた太公望の気分です。
コマ飛びしたのかと思ったら、タイミングベルトが見事に切れていました。バルブの損傷の程度が心配です。
カムカバーを開けると2本のカムシャフトが出てきました。
ヘッドを外して裏返すと、1〜3番シリンダーまではバルブが(ピストンに)当たった跡がついています。

エンジン不調の原因がこの4番だったようです。エンジンオイルの劣化が激しかったのは、4番の調整不良のためにオイルが燃焼し、ブローバイがオイルに混じっていたのでしょう。

ターボ車はオイル管理が大切。それを怠るとエンジンに重大なダメージを与えます。4番の不調がタイミングベルトにストレスをかけて切断を招いた可能性が高いです。

シリンダー内にもかなりカーボンが付着していました。あまり回転を上げずに走っていたのかもしれません。

エンジンを下ろしてヘッドを開けるまでに丸一日かかりました。

2日目、ミッションを外しました。
クラッチです。PULL式なのでダイヤフラム側にレリーズベアリングが付いています。
フライホイール(左)とクラッチ板(右)です。クラッチ板はかなり減っていたので交換します。
エンジンブロック下部を開いてクランクシャフトが見えたのでピストンを外すことができるようになりました。
コンロッド内側のメタルがクランクシャフトに当たって擦れた跡がついています。これはオイル管理が悪かった証拠です。
ピストン、コンロッドとクランクシャフトです。

クランクシャフトにも擦れた跡が見られるのでホーニング加工します。

ミッションもオーバーホールしました。メインシャフトのベアリングにガタが出ているので交換します。
そして、ミッションを組み直します。
組み直したミッションの油汚れを落として磨きました。
シリンダー内に細かい傷がついているのでボーリングします。
オルタネータ(左)とスターター(右)はリビルドに出します。
交換用パーツです。

今回、エンジンとミッションのオーバーホール、クラッチ交換、タイミングベルト交換、ウォーターポンプ交換、フライホイール研磨および軽量化、エンジンマウント交換を行う予定です。

エンジンは、シリンダーヘッド清掃、ポート研磨、シム調整、平面研磨に出します。その際、ピストン、親・子メタル、バルブ、バルブガイド、ヘッドボルトはすべて交換します。

いまから完成したデルタに乗るのが楽しみです。(続きはこちら