売約済みとなるまでの期間限定となりますが、ここからは「ランニングレポート」です。ちょっと古いマセラティでも普段の足として使えるのか。E-wayamaさんは大丈夫だというのですが、その答えは自分で見つけたい。何回レポートできるかわかりませんが、よろしければお付き合いください。
| マセラティ・レーシングは99年にイタリアから中古車として輸入しました。「中古並行」に良からぬイメージをお持ちの方も多いかと思いますが、わたしたちはその壁を崩したいのです。「中並」だってそのクルマを理解したうえできちんとメンテナンスすれば「新並」や「D車」ともなんら変わることがないはず。国内での初度登録は99年ですが、イタリアで生産されたのは92〜93年です。つまり、すでに10年以上経っているクルマなのです。 前オーナーはわたしも存じています。大事にしてらっしゃいましたが、最後はエアコンはあまり効かないし、マフラーに穴が開き、ターボの効きがいまひとつ、クラッチも交換時期になっていました。ストックリストに掲載し「クラッチ、タイミングベルト、ウォーターポンプ、エンジンマウント交換」は別途リセットメニューとしたものの、実際には必須メニュー。商品化の一環として先行して整備を行いました。それはガレージレポートでお伝えしたとおりです。 じつはレーシングが入庫してすぐ、その整備に先立って乗って帰ったのです。私事になりますが、わたしは週に2回、次男を学童保育所に迎えに行きます。レーシングで迎えに行くと彼は「わ、かっこいい!」。広小路通りでちょっと踏んでみたところ、たしかにターボの効きがいまひとつ。それでも過給がかかれば怖いくらい速い。自宅の駐車場に戻ったとき、地面に緑色の水たまりができました。ラジエターのリザーブタンクのキャップから溢れていたのでわたしはとくに心配しなかったのですが、翌日タオルが投げられ、前述のリセット作業までお預けとなったのです。 ここまでが過去の経緯。ここからが今週のお話になります。 クラッチも交換したし、ひととおりチェックしたので「乗って帰ってもいいですよ。いつものBMW520ではなく、レーシングのキーを手にルッソをあとにしました。駐車場でレーシングのドアを開け、ソファのようにクッションの柔らかいシートに腰を下ろします。キーをむこうに一段ひねり、右足はブレーキ、左足はクラッチを踏み、シフトレバーをニュートラルに戻してスターターを回します。ブォンと目覚めた2リッターV6ツインターボエンジンは勇ましい排気音を立てています。窓を開けていると目が沁みるのはマフラーに穴が空いて排気ガスが漏れているから。マフラーは純正品に替えるか、ワンオフで作るか。次のオーナーになる方とのご相談となります。つまり、わたしはこのまま乗るわけです。(苦笑) 1速に入れてクラッチをミートすると落ちる回転を右足で補いながら発進します。最初はかなりガタのあったシフトレバーも改善されています。ただ、ラフなシフトをするとクラッチをつないだときに床下からゴトンと駆動系が揺れる音が聞こえます。駆動系に余計な負担をかけないように試行錯誤しながら操作を工夫します。レーシングをうまく転がす練習です。直線で前が開けたときにちょっと踏んでみたのですが、4,000rpm近くなってようやくターボが効きます。じわっと効くのではなく、いきなり来るのですごく怖い。一瞬リアタイヤのトラクションを失います。E-wayamaさんいわく「導火線の短い爆竹みたい」。自分ではブースト計を見ている余裕などありませんでしたが、同乗していたスタッフによるとメーターの黄色いところまで振れたとか。だとしたら赤いところに入ったときには横を向いているかもしれません。 ただ、いくつか懸案事項もあります。ギブリGT同様だとすれば2リッターターボはもっと低い回転からターボが効き始めるはず。エアコンは効くのですが、E-wayamaさんに言わせると「もっと効くはず」。電圧計をみると、走行中は14Vあるものの、信号待ちでは12Vまで下がります。オルタネータは働いているけれど、ちょっと弱いかな。 信号でふつうのセダンのうしろについたとき、視点が低いことに気づきました。レーシングって最近のクルマに比べるとコンパクトで全体に低め。わたしが借りている駐車場は入口の傾斜がきつく、出るときはフロントスポイラーを擦る可能性があるのでバックで出るようにしています。クラッチはわたしは重いとは感じません。ただ、大きくステアリングを切るとパワステポンプがシューと音を立てます。なにかと気疲れするので、休日に「ちょっとそこまで」乗って出るようなクルマじゃないというのが実感でした。でもハンドルをあまり切らないように車庫入れすればいいだけだと気づいたり、馴れてくるにつれて不安も薄れていきました。そもそもルッソが後ろ盾なのです。なにも恐れる必要などありません。(よね?)
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