BX REPORT No.3
BXがどういうクルマなのか感触がつかめるまでは無理せず「乗せてもらう」つもりです.

■ お座りBX

翌朝になるとBXは「お座り」してます.

長時間放置しておくと勝手にリアの車高が下がってくるのです.標準の車高であればリアのホイールはリムまで見えているのが10cmくらい下がるためにタイヤ前部の最低地上高は握りこぶしひとつになってしまいます.そこが立体駐車場だったらセンターの突起に「座って」いるでしょうね.一般駐車場のコンクリートの輪止めもいっぱいまで寄せるとマフラーが当たるかもしれません.

これだけ下がっていれば後部座席の乗り降りが(幼児でも)楽です.まるで「どうぞ乗ってください」と言わんばかり.どうせならフロントもベタっと下がれば「伏せ」になるのに.(笑)

一瞬,国産4ドアセダン同様の「ショコタンBX」を想像したのですが似合いませんね.レバー1本でシャコタンにもクロカンにもなるのですが,そもそも外見で周囲を威圧しようという発想自体がなじみません.BXにはもっと飄々としていてほしい.重厚さは似合わない.軽妙さが似合うような気がします.

おなじ犬でもリトモは小犬でBXは成犬.はしゃぎまわる小犬もかわいいんだけど相手をしていると疲れる.ゆったりと付き合うには大人の犬のほうがいい.一応フランスの血統書が付いていて,なにを考えているのかわからないこともあるけれど,そこがまた神秘的でよかったりして.

そういえばステッカーだらけの2CVを見たことがあります.それがどこかの部品メーカーの宣伝カーじゃなくて「旅行カバンみたいだな」と思ったのです.人間を収納して運ぶ旅行カバン.あちこちを一緒に旅して回った証拠みたいなクルマ.唐突にルイ・ビトンのイメージがだぶります.

生活の道具としてほんとうに役立つものが高級品であり高級車なのでしょうね.

■ ラクダかな

エンジンを始動するとヨッコラショと「腰を上げる」感じがします.実際にはフロントとリアが交互にムクっムクっと上がってきます.「ラクダに乗るときってこんな感じかも」.どうしても動物を想像してしまいます.

もう4月中旬なのに朝一番の始動が心もとない.キュルキュルキュルボンっという勢いがない.

セルの回り方が頼りないんです.フュルフュルフュルフュルフュル(おいおい)フュルフュルポッポッポッ(よし,かかれ!)ポポポポッといった調子.Eワヤマさんが「コールドスタートは苦手」と言うのがわかりました.真冬はもっとやりにくいでしょうね.でも毎日乗っていればじきに慣れるはず.「キャブ車の始動は右足も使う」と覚えていれば大丈夫です.

ATミッションのギア比も関係するのでしょうが,排気量はリトモと大差ないのに体感トルクとパワーが細い.最高出力は100psに抑えてあるとはいえ,最大トルクは 16.5kg/3,000rpm とリトモよりも低回転でトルクが出るようになっています.

ところが,ブレーキを踏んだあと再加速にイライラするんです.シフトショックも小さくて快適なのですが「1.9リッターのATってこの程度?」.キックダウンすればいいのでしょうが,そこまで鞭打つのもBXに気の毒.なにせラクダですから.

銀行に寄ったり買い物したりとあちこちの駐車場を出し入れしても5ナンバー枠のボディサイズは持て余すことがありません.

静かでスムーズなのはよいのですがこのエンジンの線が細いのが物足りない.でも前項で「軽妙さが似合う」と書いたところですからエンジンが自己主張しないほうがよいのでしょう.ハイドロとの関係がどうなるのかわかりませんが,シトロエンにこそEV(電気自動車)化を推進してほしい.

クーラーはよく効きます.4月から5月にかけてのレポート期間中は快適に過ごすことができそうです.