BX REPORT No.24
次回発売の月刊Tipo,月刊Left(東海地区限定)に「10年物の楽しみ方」を紹介する広告が掲載される予定です.Eワヤマさんも「変な広告をつくってしまいました」.クルマを売るだけでは満足しないルッソならではの「広告」ではないでしょうか.

■ 小指とプラグ点検

打ち合わせのために閉店後のルッソにお邪魔しました.BXで出かけて用事が済んだら工具を借りてプラグを外してみるつもりでした.そのために16mmのプラグレンチと30cmくらいのハンドルを借りました.

2番は外れました.焼け具合もカーボンの付き具合も1番とおなじです.ところが3番が外れません.Eワヤマさんが「ちょっとやらせてください.ほんとに固いですね」.なんとか外れました.一旦ゆるんでしまえばあとはラチェットで...「あれ,ずいぶん手応えがあるなあ.まさかネジ山が死んでるんじゃないだろうな」.

そこへちょうど食事を終えた長屋さんが戻ってらしたのでバトンタッチ.「これはネジのところに汚れが付いているんですよ」.ワイヤーブラシで磨いてからネジ部分にモリブデンをスプレーしています.BX用のスパークプラグはワッシャーを潰すタイプではなく,プラグ穴にすっぽりとはまるタイプなので締めたり外したりするときの抵抗が大きいみたいです.これは古いタイプのプラグだとか.

同様に4番プラグも外してもらったら「すこしリークしてるな」と長屋さん.「え,どうしてわかるんですか?(雨の日のことはまだ話してないのに)」「プラグの根元に白い粉が吹いてるでしょ? リークするとこうなるんですよ」.

やっぱりリークしてたんですね.予想が当たるとうれしい.Eワヤマさんも長屋さんに「ハイテンションコードを換えたほうがいいですね」.

3番プラグを外すときにEワヤマさんは左手の小指をオルタネータにぶつけてしまったようです.「やっぱりボクはフランス車に嫌われているんですね」.指を見ると爪にシェブロンマークが...「もう一度やればダブルシェブロンですね」「いえ,今度はルノーに行きたいから反対向きにひし形になりますよ」(笑).

■ 10年物テキスト

この「10年物レポート」は個々のクルマがどれくらい楽しめるのかを実体験に基づいてお伝えするのが目的です.「いいことも悪いことも思ったことをそのまま書いてください」ということなのでお引き受けしています.

一方,それは hisata にとってEワヤマさんに与えられた教科書でもあるのです.

BXとリトモは性格はちがっても「10年物と楽しく付き合うにはなにが必要か」を教えてくれます.以下,現時点でのわたしなりの考えをまとめてみます.

  1. 納車時にきちんと整備してもらうこと.そこで手を抜くと苦労しますから「リセット代金」も含めて予算を考えましょう.
  2. こだわりが大切.理想の個体を探すのが難しい場合,開き直って「理想の個体をつくる」発想も必要.自分がほんとうに楽しいと思えるクルマをつくっていくのが中古車の楽しみ方.
  3. あきらめも大切.矛盾するようですが,機能しなくても困らない部分は気にしないことです.
  4. 壊れないかと心配するよりも壊さないように乗るコツを知る.ビクビクしてたら楽しめない.修理に追われるのではなく普段のメンテナンスで先手を打つ.
  5. 「高価なクルマ=良いクルマ」という価値観を捨てること.世間の物差しに縛られていてはつまらない人生になってしまう.

BXにはリトモのような尖った部分は感じられません.でも足回りを除けばベーシックな自動車ですから「エンジンのご機嫌伺い」の勉強になっています.レポート車にはいつもどこか不調のタネが残してあるような気がするのは被害妄想でしょうか.

10年物との付き合いは,将来ほんとうに自分が乗りたいクルマと付き合っていくためのステップになるのでしょう.