ダッシュボードの裏側でピーピー鳴るのはなんだろうと懐中電灯片手にのぞいてみたのですがわかりません.リレーを押さえると音色が変わるのですが,ウィンカーの点滅のカチカチという音に合わせても音色が変化します.警告音だとしたらどこかにスピーカーがあるはずですが見あたりません.懐中電灯をもってゴソゴソやってるとまるで探検隊の気分です.

■ 朝の風景2

毎朝「今日こそは一発でかけるぞ」とイグニッションをひねるのですが,やはり2回失敗して3回目でかかります.この季節に一発始動できれば完璧だと思うのですが,まだコツが掴めていないようです.

アイドリングはほぼ 1,000rpm.始動直後に 800rpm くらいまで回転が落ちるとダッシュボードがガタガタと震えます.いまではダッシュボードが震える音で回転が落ちていることを察知して,ブレーキを踏んでいる右足の踵をアクセルペダルに乗せるクセがつきました.帰路,日が暮れるとライトをつけたってメーター照明が暗いために回転計がとっさに読みとれないんです.自衛策でもあります.

ライトといえば交差点の右折待ちでウィンカーを出したまま,対向車がまぶしいだろうとヘッドライトをスモールにしようとすると2本のレバーが絡まって操作が困難です.ステアリングコラムの左側には手前にウィンカーレバー,奥に照明用レバーが付いています.

130TCのエンジンがトルクフルなのかどうかはよくわかりませんが,155よりもボディが軽いだけ動きは軽快です.ただし,たとえ段差3cmの縁石ですらそろりそろりと越えます.勢いよく越えると衝撃が来るからです.これは適宜増し締めしないと部品が外れそう.そうそう,固いといえばフロントにストラット・タワーバーがおまけで付いています.

15分ほどで勤務先についてしまうのでヒーターを使う暇もありません.駐車場でドッコイショっと切り返してクルマを止めて下りると「おや?」.ボンネットに細い線がついています.中央付近に縦横に何本も白い線がついているので「塗装が割れたか」と思ったのですが引っ掻いたようにも見えます.

長屋さんに聞いたら「これは塗装が割れてるんですよ.ワックスかけたら出てきたんです」.そういえば横山さんがワックスをかけてくれたとか.そういうことは納車説明のときに教えてくださいね,横山さん.悪戯されたかとドキっとするじゃないですか!

どうやらEワヤマさんもリトモのトラブルが心配みたい.相手がわたしですから気を遣ってくれているのでしょう.ちょっと意味深なタイトルのメールを送ると「さてはリトモが」とドキっとするみたい.だから「リトモにトラブルがあったら電話する」って言ってるでしょ?

リトモが納車後何日間,何kmをノートラブルで走ることができるか興味がありますね.ただし,ここでいうトラブルとは走行不能状態に陥ることに限定します.(笑)

■ いいクルマ,悪いクルマ

どんなメディアであれクルマのことを伝えるときにライターは「なにかと比べて」いるはず.人間は未知のものに出会ったときにお互いの基準を見つけようと「たとえ」を探し,擬音語,擬態語を駆使します.

わたしはボキャブラリーが貧しいために的確な表現ができずに歯がゆい思いをすることも多々あります.ですが耳障りのいい言葉でくるんでごまかしてしまいたくありません.自分自身をごまかすくらいなら「わかりません」と白状します.

クルマが「速い・遅い」「軽い・重い」「固い・柔らかい」というのも相対評価が多いように思います.それを客観的に表そうとするとサーキットでの計測結果を示すことになるのです.それもひとつの方法ですが,わたしは数字を見てもピンと来ません.ゼロヨン加速が何秒で,最高速が何キロだろうと「楽しいかどうか」とは必ずしも関係がないように思うからです.

このレポートで伝えたいのはもっと人間臭い部分です.自分のライフスタイルの中にリトモが入ってきたときに何が起こるのか.どんなふうに生活が変わるのか.そこが読者のみなさんの関心事ではないでしょうか.

実際なんらかの判断基準を示そうと自分が所有したことのあるミニや155と比べることが多いですし,いまこのホームページで一緒に走っているジュリア・クーペも75などと比べることでイメージを伝えようとするわけです.

またわたしのような素人がちょっと乗ったくらいで結論を出すことはむずかしい.出せないことはありませんが,感じ取ることのできた範囲でまとめてしまうしかありません.ほんとうはいろんな場面でいろんな走らせ方をしてはじめてそのクルマらしさが見えてきます.そのためには時間がかかります.そして一般論ではなく「自分にとってのクルマ」を見つけながら綴っていくことで「人とクルマの関係」が浮き出てくるものだと思います.

なにがいいクルマで,なにが悪いクルマなのか.

これは個人の価値観そのものですから人によってちがいます.あくまで主観でビシっと○と×を付けるのも痛快ですが,わたしのなかでもTPOによって基準が異なるので一概には言えません.

hisata にとってリトモはいいのか,悪いのか.

乗り始めて一週間も経っていませんが,いまは「いいクルマ」だと思っています.悪いと思ったら最初から乗りません.(笑)

「いいクルマ」だと思っているし,そう信じているからリトモの美点を探すのです.「こいつは楽しい」と感じた瞬間をきちんと書き残そうとするのです.そういう瞬間があるかどうかが,そのクルマに「乗りたい」「乗り続けたい」と思う原動力になるのではないでしょうか.そのためにトラブルも含めた「現実」だけでなく,そのクルマの持つ楽しさや扱い方のコツを伝えたいのです.

今回の企画はルッソが「クルマを売ろう」とするものではありません.自分たちも楽しみながらノウハウを蓄積し,今後ルッソが多様なクルマの楽しみ方を提案していけるようにするための土台づくりなのです.単に注文されたクルマを納めるだけならルッソでなくてもできます.それではつまらないのです.

「おもしろいクルマがほしい」「もっとクルマを楽しみたい」といった方に対して長い目でみた道筋をアドバイスできるようになりたい.アルファロメオでもロータスでも納得して乗ってもらい,安心して楽しんでもらいたいのです.このホームページで表現されているレベルがルッソの現状です.直接Eワヤマを訪ねてくだされば「そのレベルで」ご相談に応じることができます.

たとえリトモが「いいクルマ」だとしても「だからみなさんも乗りましょう」というつもりはありません.このレポートを読んでくれたみなさんがどう判断するかはみなさん次第です.わたしにできるのは本音をお伝えすることだけです.

このレポートには hisata の勘違いもあろうかと思います.ですが,これがその時々の本音なのです.レポーターが感じた以上のことは伝わるはずがありませんし,そのとき感じたことがわたしにとって唯一の真実なのです.語弊があるかもしれませんが,メーカーや販売店の都合にあわせたお仕着せの真実など意味がありません.あ,ここも販売店のホームページでしたっけ.(笑)

でもルッソのホームページに掲載されているレポート群はユーザである hisata が見ても意味はあると思います.Eワヤマさんはそんなユーザの視点を羅針盤にしてルッソの舵取りをしているからです.そうでなければ広報担当など引き受けません.

そんな事情はさておき,わたしにとってクルマを楽しむことは,自分にとっての真実のカケラを集めてまわることなのです.最後にそれらのピースを組み合わせたときにどんな絵柄が浮かび上がってくるのか楽しみです.