RITMO REPORT No.22
雨が降っても雨漏りもせず,スリップもせず,リトモは立派に実用車として走っています.

ところが今日出先でエンジンをかけようとイグニッションを捻ったらトランクのほうからジジジジっと数秒間異音がしました.何事もなくエンジンがかかりましたが,まさか燃料ポンプじゃないでしょうねぇ.

■ ジェットを戻す

アイドルジェットは40番から元の55番に戻しました.アイドリング状態からいきなり「深呼吸」されるよりは,もうすこし上で「息継ぎ」されるほうがましです.クラッチをミートすると同時に右足でカバーするのは疲れます.

今回の実験でふたつのことがわかりました.

  1. 55番を40番にしてもアイドリング回転数は変わらない
  2. アイドルジェットはアイドリングだけでなくちょっと踏んだところを受け持っている

まず1についてですが,燃料を吸い上げるアイドルジェットの直径が0.15mm細くなってもアイドルするということは「55番で長時間アイドルさせるとかぶってしまう」のか「40番の直径があればアイドルに必要な燃料は供給できる」のかどちらでしょう?

2については HAYNES WEBER carburettors の解説図にあるようにスロットルがある程度開くまで(低回転)はアイドルジェットを介して燃料が供給されることが実証されたわけです.やっぱりキャブをオーバーホールするまえに加速ジェットの番手を換えてみたい.

キャブなんか知らなくても長屋さんに「調整してください」とお願いすれば直ってくるのでしょうが,それではリトモレポートの意味がありませんし,わたしもつまらないんです.知っている人には当たり前のことでもわたしはなにも知りません.教えてもらったり解説書で調べたりしたことをまるごと信じてしまうより自分で確かめて納得したいのです.そうすれば自信をもって話すことができます.

ゲームのルールや定石をたとえ5%しか理解していないとしても,その5%の範囲で楽しめばいい.そのうちに理解もすこしずつ深まっていくはずです.

「キャブ調整はむずかしい」「キャブは最高」「インジェクションなんてだめ」という話が聞こえてくると(例によって)本当かなと疑ってしまうのです.性格が悪くてごめんなさい.だからリトモがキャブ車だと聞いたときから「キャブ車だからと構えるのはやめよう」と構えていたのです.(笑)

さすがにジェットをいじるのは慣れました.気のせいかもしれませんが,ジェットって掃除しただけでも微妙にエンジンの調子が変わります.「みんな大騒ぎするけどキャブなんて理屈どおりに動いてるだけだろ?」と思っていたのですが,やはりキャブレターというのはデリケートな機械なのかもしれません.

自動車って動くべくして動いているし,不調は出るべくして出ているのですね.ちょっと複雑だから原因が見えにくいだけ.最初はよくわからなくても自動車のベールを1枚ずつはがしていけばクルマってもっと身近になって構えなくてもよくなるんじゃないかな.

■ キャッチボール

リトモはルッソのレポート車ではありますが,わたしは義務感から連載しているわけではありません.気分はリトモのオーナーです.

オーナーとしてはいまの環境は理想的です.ルッソのスタッフが「困ったら助けてくれる」という保険があるから安心して楽しめるのです.雨の日に滑って怖い思いをすれば,おなじ経験をしてもらったEワヤマさんが新しいタイヤを選んでくれるし,キャブが気になれば長屋さんが付き合ってくれるし,走りに行きたければ横山さんが来てくれる.

調子が悪いときだけでなく,ちょっと手を入れてフィーリングが良くなったら乗ってもらうんです.そうすればこちらの言いたいことも伝わるし,ルッソのスタッフは一緒になって喜んだり悩んだりしてくれます.

Eワヤマさんが言うようにルッソは「ベースキャンプ」ですから,そこへ立ち寄れば「どのルートで登ろうか」という相談に応じてくれます.こちらの経験や体力に応じて「このルートから迂回したほうが楽」だとか「まっすぐ頂上へ向かうべき」だとかね.

わたし自身,ALFA ROMEO 155TS 8V から入門してEワヤマさんに色々と教えてもらっているところです.以前書いたようにリトモに乗ることも「hisata はどういうクルマが好きなのか」を確かめる意味があるのです.

リトモが来てそろそろ1ヶ月.毎日乗っていると扱いにも慣れて違和感も消えつつあります.多少乗りにくくても逆にこちらの許容範囲が広がったような気がします.日本車から乗り換えても気にならなくなってきました.わたしも鍛えられたかな?(笑)

クルマの性格やコンディションに応じて運転を変えたり,こちらが合わせてやったりすることが自然にできるようになれば,もっといろんなクルマを楽しむことができるでしょう.

リトモとのキャッチボールの結果をルッソに投げることでこのレポートは進んでいきます.