長いようで短かったリトモ・レポートも最終回です.57,400km まで約 2,000km の間リトモを走らせて無事レポートを終えることができて安心すると同時に,リトモともお別れかと思うとちょっと寂しいです.短い間でしたが,わたしのカーライフに1ページを加えてくれたリトモに感謝します.
- ■ オーナーによる回想
- アルファロメオ155オーナーが以前130TCに乗ってらしたときのことを話してくださいました.
- とにかく暑かった・・・。クーラーなしで購入してはみたものの耐えられずクーラー装着、結局、クーラーぜんぜん効かず鼻が重くなっただけ! 当時30万ぐらいした。
- マフラー脱落数回。後付けのニッサンの触媒が出っ張り、そこに突起物が当たり、マフラーが脱落。溶接しても溶接しても落ちました。最後はやけくそになり触媒外しましたがカウンタックのような爆音。ヒールアンドトゥするとパパパーンという音。家に乗って帰れなくなりました。
- 石臼のように重いハンドル。腱鞘炎になりました。これで峠を攻めるような腕力はなかった。
- 馬車のような乗りごごち。一度体重100Kgぐらいの人を助手席に乗せたら、妙にしっとりとした乗りごごちになりました。
- 調子のいいときが少ないエンジン。キャブが吹けがいいというのはやっぱり特別な場合ですかね? でもリトモの走り去るエンジン音を外から聞くと非常にいいそうです。
- 天井がたれてきて、室内が狭くなりました!
- パッシングをしたとたんバキッとウインカーレバーが根元付近で折れてしまった (このバーは中に金属とか入ってません)。短いバーではウインカーを倒すのにものすごく力が必要なので手頃な太さのボールペンを両切にしたものをジョイントにして接着剤で固めてみたものの3日ともたず再びバキッ。結局アッセン交換。これも高かった。
わかるだけに笑えない部分もありますね.1,3,4,6は同感です.2のマフラー脱落は経験していませんが,ぐらぐらしてるから落ちるかもしれません.5のエンジンの調子については(エンジンが暖まるまで)息継ぎする以外に不調は感じません.7については気をつけましょう.3については(わたしは)走っていればステアリングの重さは苦になりません.
「リトモを所有した結果、細かいことはもうどうでもよくなりました。がんがん回して楽しめればいいと思ってます」とのこと.わたしも同感です.
「動けなくなったことはなかった」ということですから,今回のレポートでとくにトラブルが起きなかったのも偶然ではないようです.10年落ちとはいえ,新車時のオーナーの話に共感できるということは,きちんと整備すればまだ楽しめるということでしょう.
「現代車はみんなフツ〜でつまらない」とお嘆きの諸兄はひとついかがですか?
いや「10年落ち」なんていうとイメージが悪いから「熟成された10年物」にしましょうか.(笑)
- ■ 捨てる神と,拾う神
- 細かいところをみればリトモにも不具合はたくさんあります.だけど「リトモは壊れるぞ」と大声で言われるほどのことはないように思います.たしかに危なっかしい部分もありますが「危なっかしい」と感じさせるだけ正直.だって予想外のトラブルって足元をすくわれるようで嫌ですよね.できればトラブルは前兆を感じ取って未然に防ぎたいもの.
「輸入車は壊れる」「とくにイタリア車はよく壊れる」という世間の風評は当てになりません.イタリア車に乗ったことのない人の話は説得力がありませんし,経験者であっても「壊れた」のではなく「壊した」のかもしれません.
そもそも乗りっぱなしで「ここが壊れた.今度はあっちが」と文句を言うのはフェアではないと思います.クルマの状態に応じて手後れになるまえに整備してやらないとトラブルが起こって当然です.
そんなことは面倒であれば,10年前の130TCを「どうせまともに乗れないだろう」と避けて通るのが賢明でしょう.でもわたしは楽しかった.「ちょっと昔のクルマに慣れ親しむ」という意味でよい経験になりました.
極論すれば「どんなクルマに乗っても楽しむことができる」のがいちばん幸せだと思います.もちろん「クルマはこうでなくちゃ」という思いがあるでしょう.でもすこし間口を広げて「うん,こういうのも面白いな」と思えれば選択肢も増えます.
わたしの選択の幅を広げてくれたのがリトモだったのです.これで10年前くらいまでのリトモみたいなクルマは怖くなくなりました.「いつかは○○に乗りたい」と理想のクルマを追求するのもよいですが,わたしは1台で満足できる人間ではありません.そのときの事情によってクルマ選びは変わります.だから選択肢が広がるほうがうれしい.
これは私見ですが,クルマに対する一般の評価やイメージってどうも画一的で退屈.信じやすいのか,横並びを好むのか,もっとバラバラでもいいはず.「壊れることで有名なクルマをいかに壊さずに乗るか」という気概を持った人がもっといてもいいと思います.
だけど現実にはショップもユーザーもリトモを敬遠しているからこそ手頃な値段で手に入れることができました.「捨てる神」がいたからこそ「拾う神」のところへリトモがめぐってきたわけですから有り難いことです.
悪いところを探していたら「捨てる神」になります. みなさんがより良いカーライフを送られるよう祈念しております.
良いところを探そうとすれば「拾う神」になれます.