ALFA ROMEO 164 REPORT No.1
まず 164 REPORT をお届けするに至った経緯と,わたしが164に抱いている印象についてお話しましょう.

■ なぜ164なの?

hisata は95年に ALFA 155TS 8V と出会ってから道を踏み外し(笑)今年になってから REVIEW コーナーで「10年物」の リトモ130TCシトロエンBXをレポートしてきました.

そのBXレポートも後半に入って「つぎのレポート車はなんだろう」ということを考えていたときにグリーンメタリックの164Lがルッソに入ってきたのです.あれはBXレポート No.15 でキースイッチが故障したときです.部品の入荷待ちの間,BXと164が駐車場に並んでいたのです.

思えばあのときにBXから164にバトンが渡されたのです.以前から164が入ってくることは聞いていて「車両価格は安い」と聞いたわたしが興味を示して,Eワヤマさんが「164復活計画」を立ててくれていたのです.

ところがその164Lはドアは派手に凹んでいるし,エアコンのコンプレッサーが壊れていて直さないと乗れないひどい状態でした.修理費用もかかりそう.でも「ちゃんと仕上げます」.これが今年3台目のレポート車です.

去年までは164には興味はありませんでした.ボディが大きくて取り回しが悪そうだし,ATに乗りたくなかったし,とくにかっこいいとも思いませんでした.それがなぜ今になって164に乗りたいのか.

ひとつにはルッソで「164はいまが旬」だと提案していること.もうひとつはシトロエンBXをレポートしたおかげで「ATでもいいかな」と思えるようになったことがあります.155TSは楽しいクルマですが,トルクフルなエンジンに憧れることもあるのです.アルファの3リッターV6エンジンが好きなのです.

いまだから白状するとBXに乗りながら街で164を見かけると「あっちのほうがカッコいいなあ」.カジュアルな実用車としてはBXもおもしろいのですが,大人がスーツを着て乗るクルマじゃない.164だとそこそこの車格とすっきりしたデザインで「格好をつける」こともできそう.

hisata としてはめずらしく「ええかっこ」してみたくなったのです.

BXに乗った反動だとみる向きもありますが「つぎは164」と決まってホッとしました.164にはちょい乗りの経験しかありませんが,それでもアルファロメオという古巣に帰る安心感がありました.

Eワヤマさんからは「どういう人が164に乗るといいか」を教えてほしいという注文が出ています.「乗りたい人が乗ればいい」というのはダメみたい.「どうしてもドイツのセダンに乗れない hisata に」というのは?

100万円代で楽しめるイタリアンセダン.あなたは興味ありませんか?

■ 164のイメージ

いつもならここでレポート車の第一印象をお伝えするのですが,今回は164に関するイメージ(先入観)についてお話しましょう.最初に書いておけばレポートを通じてそれがどのように変わっていくかを確かめることができます.

先日 Alfa 166 のホームページを見ました.

「156の兄貴分みたいだな」というのが写真を見た第一印象でした.156同様,166もヨーロッパ車なのでしょう.自動車としての品質向上と引き換えにイタリア車の薫りが消えていくのです.

ルッソでは「75はイタリア基準でつくられた最後のアルファ,156がヨーロッパ基準でつくられた最初のアルファ」として捉えています.つまり155と164はその狭間(過渡期)にあるために,ヨーロッパを意識しながらもイタリア臭いクルマなのです.

そういう意味の「イタリア車らしさ」を至上のものと考えているわけでもありませんし「そういうアルファに乗るべきだ」というつもりもありません.だけど「いま乗るなら166より164」をお勧めしたい.だって安いですもん.(笑)

オーナー諸氏の反発を覚悟で書きますと,日本での164は高すぎました.500万円以上の車両価格は「アルファロメオのフラッグシップ」=「高級車」という印象を与えました.それが間違いのはじまりで,日本車の序列に当てはめるなら164はせいぜいトヨタ・マークII,155はトヨタ・コロナあたりではないでしょうか.癪に障ったとしてもそう考えると気負いもなくなるはず.164をクラウンやセルシオのように思うと「こんなはずじゃなかった」ということになります.

先に「安い」と言ったのは164の相場価格が「あるべき水準に下がってきた」という意味なのです.Eワヤマさんの予想では164の旬は「これから2〜3年」.アルファロメオのニューモデルの波に乗って沖まで流されてしまった方はそこで楽しんでいただくとして,なんとなく波に乗れなかった方,乗りたくなかった(hisata 同様に偏屈な)方はこのレポートをごらんになって「いま164を楽しむとしたら」と想像してみてください.

おなじイタリアの4ドアセダンでもランチア・テーマはフォーマルであり,マセラティ・クアトロポルテは華やかなイメージがあるのに対して,アルファ164はスポーティな印象があります.それを維持に苦労せずにスマートに楽しんでみたい.「苦労せずに」というところがポイントなのですが,いじるのも嫌いじゃないから下手に手を出してやぶ蛇になる可能性もあります.

はじめに断っておきます.

新車か中古車か,正規か並行か,ニューモデルか旧モデルかなんて hisata にもルッソにも関係ありません.164Lはこれまでも,そしてこれからもずっと「正真正銘のアルファロメオ」です.

さぁ,164レポートのはじまり,はじまりぃ〜.(予想レポート期間:3ヶ月くらい)