BX REPORT No.7
路上駐車のBXを見かけました.19TRIということはインジェクションでしょうか.それにしても薄汚れたBXは哀しい.塗装の光沢が消えつつあるせいでしょうか.

■ ビジュアル紹介

前回「いこいの村愛知」まで散歩に出かけた折に駐車場で写真を撮ってきたので組み写真を2枚ご紹介します.

BX三態サイドブレーキの脇にある車高調整レバーを最低から最高まで動かしてみました.(22KB)
BX Inside & Out5枚のドアを開放した様子と室内.(48KB)

まず「BX三態」ですが,車高を上げるとフロント側がゴクゴクっと音がするし,リアタイヤがわずかに回るのです.これは別名「メンテナンスポジション」と呼ぶそうですが,なんだか無理してる感じ.「クロカンBX」に早変わり.

真ん中が通常の走行モードで,最高レベルと大差がないように見えますが,実際にはかなりちがいます.一方の最低モードはまるで犬の「伏せ」です.今度は「シャコタンBX」に早変わり.シブイです.車高が変わるだけで印象ががらっと変わりますね.アメ車みたいですけどフランス車の節操は失っていません.

「BX Inside & out」では実用的なムードが伝わるでしょうか.大人4人と荷物を運ぶことができます.重い荷物を満載してもお尻が下がらないのがポイントですね.

そういえばあの日,山道を走ったにもかかわらず酔いませんでした.「緊張してたせいかな」と思ったら帰宅後クルマを降りてもふらふらします.これじゃ船酔いです.(笑)

■ 是語るべからず

週末にはじめて家族全員で出かけたら,妻いわく「助手席に乗ってるかぎりリトモとあまり変わらないわ」「え,乗り心地は全然ちがうと思うけど」.感じ方というのは人それぞれということでしょうか.エンジンをかけると車高が上がってくるのは喜んで(単におもしろがって)ました.

週明け,いつもより10分早く出てクリーニング屋さんに寄っていくことにしました.徒歩や自転車では(持ち歩くのが)恥ずかしくて引き取ることができなかったのですがクルマは便利です.ハッチバックを開けて仕上がった衣類を放り込むと,こういうシチュエーションが妙にぴったりくるんです.CMだったら花屋さんに寄るところですが,わたしは米屋さんで20kg袋を5つくらい積んで車高調整の様子を見てみたい.(笑)

子供の送り迎えや買い物など,生活に密着したところで使うのが似合うみたい.BXであれば「安売りスーパーのSクラス」のような違和感もありませんし,ちっちゃな2ボックスカーに抵抗がある人にはぴったりだと思います.

珈琲でいえばカフェオーレ.口当たりがソフトで刺激が少ない.日常生活のなかで移動や運搬を支える裏方的存在です.「ハイドロとはなんぞや」なんて意識せずに乗ればいい.

あくまで私見ですが,わたしはBXというクルマを自動車趣味のメインターゲットにはしにくいのです.水中の生き物を陸に引き上げるような無理を感じます.ちょっと尖ったクルマに乗っていて「ふだんの足は何ですか?」と尋ねられたときに「BXです」と答えるのがおシャレです.「へぇ,シトロエンってどうです? 壊れませんか?」「ふだんの足ですから」とトボケて何も語らないのがおシャレなのです.

ここではなんとかしてBXを語ろうとしているから野暮ったいのです.言い訳がましいですが,本来わたしには「実用車を語る」ことはできません.言うべきことが見当たらないのです.

わたしは「BXはつまらないクルマだ」と言うのではありません.それどころかBXを実用車として毎日乗っているなんて最高におシャレだと思います.それがシトロエン乗りの心意気なのかもしれません.

このBXも納車前にスフィアは全交換してあるのでわたしは安心することにしています.床下からゴトゴト異音がするのはスタビライザーのブッシュが交換時期だそうです.それさえ直せばあとは朝一番の始動時にアイドルが不安定なことくらいでしょうか.それも最初の10分くらいですから気にしてません.

「BXの調子はどう?」と尋ねられれば「きわめて快調ですよ」と答えるでしょう.