RITMO REPORT No.21
試してみたいことがあって,やろうと思えばいつでもできるとなると我慢できません.時間を見つけてやってみました.

■ アイドルジェット交換

これは横山さんが調べてくれたことですが,ジェットには燃料穴だけでなく空気穴の大きさによっても種類があるそうです.

たとえば「F8 55」というアイドルジェットの55というのは「燃料の量を調整するジェットの穴の口径」で,F8というのは「空気の量を調整するジェットの穴」だそうです.

燃料穴の大きさは(×100mm)で表記するので55番というのは直径0.55mmを意味します.一方の空気穴の大きさは以下の順番で大きくなっていくそうです.

F6/F12/F9/F8/F11/F13/F2/F4/F5/F7/F1/F3

まったくでたらめですね.しかしこの空気穴の大きさによってなにが変わるのかよくわかりません.「F8 55」の場合,F9にすると空気穴が小さくなり,F11にすると大きくなるのです.燃料穴のサイズは35〜60まで5番刻み(6種類)だとか.

ところがリトモについていたアイドルジェットは「F17 55」です.そんなサイズは見あたらないうえに空気穴はジェットの側面を貫通していて,つまり空気穴が2カ所開いているのは珍しいそうです.

その「F17 55」を横山さんからお借りした「F8 40」に交換してみます.前回の仮説が正しければ,交換後アイドリングの回転数が下がるはず.だとしたら朝一番のエンジンが冷え切った状態ではひとりで作業するのはつらいかもしれません.そこですこし走らせた状態で交換してみました.

アイドル回転数を調整するなら HAYNES FIAT STRADA の調整解説図にあるアイドル回転数調整ねじを回すつもりです.4つある個々の調整ねじを回すとシンクロが狂ってしまうので全体調整ねじだけいじるわけです.

ところがエンジンをかけてみるとちゃんと 1,000rpm でアイドリングするではありませんか.まったく調整の必要はありません.軽くアクセルを煽ってみると吹け上がりがやや引っかかり気味ですが走れないことはなさそうです.

ということは「アイドル回転数が下がる」という仮説は外れたわけです.早速走らせてみたところ「なんだ,こりゃ〜!?」.

■ つぎに試したいこと

従来は 1,500-2,000rpm の間で息継ぎが出ていたのですが,その回転域が 500rpm 下がりました.つまり 1,000rpm からいきなりエンジンがグズるのです.

発進しようとクラッチをミートした瞬間にアクセルを入れるのですが,吹けないものだからストールしそうになります.街中の STOP & GO は最悪.乗りにくいことこの上ありません.「息継ぎには逆効果」という仮説は当たったのですが,こんな状態になるとは思いませんでした.

こうなると「息継ぎ」ではなく「グズる」としか言えません.空吹かししているとわかりにくいのですが,クラッチをつないで負荷をかけるとボボボボっと吹けないのです.しばらく右足で調整して我慢していると 1,500rpm になっていきなりブォ〜ンと吹けるのですからもうたいへん.

空気穴の意味がわかっていないので燃料穴の大きさだけに着目すると「燃料穴を小さくすると息継ぎする回転数が下がった」わけです.だったら今度は「F8 60」に換えれば息継ぎの回転域が上がってメインジェットの受け持ちである 3,000rpm にオーバーラップして息継ぎは消えるかもしれません.

いや,55を60にしたくらいでは息継ぎする回転域が 2,000rpm から 3,000rpm に上がるとは考えにくい.65とか70があればいいのですが,横山さんの話では60までしかないわけで,そうなったらアイドルジェットは元に戻して加速ジェットの番手を上げてみる手でしょうか.

横山さんの話によるとアイドルジェットは1本1200円,加速ジェットは1500円するとか.アイドルジェット4本だと4800円.ちいさな真鍮の筒にしてはちょっと高くないですか?

アイドルジェットを60に換えてみて「65があれば絶対消える」と確信が持てれば方法はあるんです.ドリルでアイドルジェットの燃料穴を広げてしまえばいいんです.(笑)

Eワヤマさんに電話して「リトモのアイドルジェットを換えてみたんですけど乗ってみませんか?」「乗ります!」.近所を一周して「これは息継ぎというより深呼吸ですね」.戻ってきたら「だめっ,乗りにくい! これはもうバラしましょう」.たしかにキャブをオーバーホールしたほうが早いでしょう.

「走行会用にOMPのフルバケットシートも来たので次回付けましょう.むちゃくちゃカッコいいですよ」.リトモのシートは横幅がゆったりしているのでバケットのほうが格段に走りやすいでしょうね.