Alfa Romeo SZ (ES30) 車検整備
- 2017/2/17
- LUSSO JAM
- Posted by lusso_cars
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先日お預りしていたアルファロメオSZです。今回は車検整備とエアコンのコンプレッサーなどの
交換修理、リアアクスルのブーツ交換などを行いました。
80年代後半に入りアルファが次々と横置きエンジン、前輪駆動に変わり始めた時代に「最後のアルファ」と
呼ばれ、新車時から深く関わった我々にとっても愛着ある重要なモデルです。弊社ホームページでも
20年前からたびたび取り上げてきましたので、ご興味のある方はこちらの”Lusso Classic”サイトも
ぜひぜひ御覧ください!http://lussocars.com/classic/
この時代のアルファの特徴はなんと言っても音が最高なこのSOHC時代のV6エンジンと
トランスアクスルにド・ディオン式リアサスペンションの凝ったシャシです。
上の画像はリアから眺めたところです。
こちらはフロント側を真下から撮ったところです。美しいアルミフィンのあるオイルパンと
後方に続く排気管。ギアボックスはここにはなく後輪側にあります。
リア側を別の角度から。太い鋼管でできた台形のような形をしたものがド・ディオンチューブで、
青矢印がクラッチ、ギア、デフが一体になったハウジングです。そのすぐ脇にブレーキがあり、
そこから延びたドライブシャフト(黄色矢印)を介してタイヤが駆動されます。重いブレーキ
ユニットが内側にあることによって左右の重量配分の面でも有利です。
SZではなく他のアルファのリア部分の図ですが、このようになっています。重いギアボックスの
重量を受け持つのはボディ側なので後輪には影響しません。一時期のアルファはスパイダーを除く
全ての後輪駆動車にこんな手間もコストも掛かるメカニズムを使っていました。
ご覧のようにコイルスプリングから下部分はド・ディオンチューブとタイヤ&ホイールだけなので
バネ下重量の軽減に貢献しています。バネ下が軽いとタイヤの接地性能が大きくアップして
ロードホールディング(食いつき)が良くなります。SZの最大横Gは1.1Gだそうで、1.0Gを越える
ということはすなわちコーナーリング中に車両全重量の荷重が横方向に掛かってもタイヤは食いついて
いるということです。ちなみに一般的な市販車の最大横Gは0.5~0.6程度です。
リアアクスルのホイール側のクローズアップです。手前の赤矢印がド・ディオンチューブで、
その向こうにはコイルオーバータイプのショックアブソーバーが見えます。
黄矢印部分が交換したアクスルブーツです。
こちらが取り外した古いブーツです。ヒビ割れしてグリースが滲み出てしまっていました。
フロント部分です。1972年発表のアルフェッタ以来、トランスアクスル車のフロントサスは
トーションバーでしたが、SZとRZはアルファ75の IMSAレーシング仕様から流用したコイル
サスペンションになっています。
これは弊社が昨年販売した同型車の画像ですが、この個性的なデザインが気に入っています。
SZ(スプリント・ザガート)という車名どおり、もともとアルファロメオとザガートが自社の
イメージアップを模索していたところ、双方の思惑が一致して共同プロジェクトがスタートしたそうです。
約19か月という短い開発期間を経て1989年3月ジュネーヴショーで発表、1,000台限定車として1991年
半ばまでに1,036台生産されました。(これには38台のプロトタイプも含まれています)
ボディデザインはザガート、アルファ、フィアットの3カ所のデザインセンターが競作し、
当時フィアットデザインセンターにいたロベール・オプロンによる案が採用されて進められました。
彼はシトロエンやルノー、アルピーヌなどを手掛けてきたデザイナーで基本的な部分をデザインし、
アントニオ・カスッテラーナという若いデザイナーが内外装を煮詰めました。
好き嫌いが分かれる車ですが、そのルックスだけではなくクルマ好きのツボを刺激する乗り味も
この車でしか味わえないものです。Lusso Carsにとっても一緒に歩んできた身近な車だけに思い入れも強く、
これからもずっとオーナー様と共に愛して楽しんでいきたいと思います。