歴史について調べてみたのですが数字についてはちょっと怪しいのでまちがいがあればご指摘ください.

■ V12の系譜

XJ6は1973年にシリーズII,1979年にシリーズIII,1986年にはXJ40,1994年に現行ボディのX300にモデルチェンジしてきました.ただ,DD6だけは1986年以降も引き続きシリーズIIIボディのまま生産が続けられ,1994年にモデルチェンジしたのです.

このDD6に搭載されているV12の歴史をさかのぼると1971年のE TYPEシリーズIIIで初めて登場します.1993年式のDD6に搭載されたエンジンは改良を重ねられながら22年間生産されたことになります.まさに伝統のユニットだったわけです.

ALFA ROMEO155TS 8Vのエンジンも古いユニットでしたがすごく気持ちよくて大好きでした.数字で見たときの性能はパッとしないくせに琴線に触れるのです.それと直接比べることはできませんが,伝統のユニットって当時を想像する楽しみがあります.

わたしの基準からするとDD6のV12は非常に静かで滑らかです.でも無音じゃない.この英国紳士はポーカーフェイスを気取っているようですが,ちゃんと表情があります.それを読み取ってあげるのもドライバーの楽しみじゃないでしょうか.

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余談ですが,DD6をレポートさせてもらえることが決まってから,本やインターネットなどでシリーズIIIのDD6について情報を探したのですが見つかりませんでした.

こういう渋い車はクルマ好きのホームページで盛り上がることはないのかもしれません.結局どんなクルマなのかは「乗ってみればわかること」と納得して,この連載を始めました.でも,おなじ車種に乗っている人がどんなふうに感じているのか,調子はどうなのかに興味があります.できればそういう話を読んでみたいと思うのです.

でも「乗り心地はいいし,V12もすばらしいよ」というのではピンと来ません.どんなふうにすばらしいのかが知りたい.それに良いことばかりとも限らないでしょう.わたしのこのレポートでどこまでDD6を知っていただけるかわかりませんが,感じたままを伝えるように心がけています.

これまでのレポート同様,毎回の原稿はわたし個人の判断で公開しています.LUSSOもEワヤマさんも事前チェックはしていません.Eワヤマさんも読者のひとりとして楽しんでくれているようです.

No.6の「空白の3,000回転」の話はあまりうれしかったので公開前にEワヤマさんに前振りだけ話したのです.だから彼は結論を知りたくて公開までの数日間ジリジリしたようです.悪いことをしました.(苦笑)

たとえばジャガーがLUSSOのお店に止まっていると近づき難く感じてしまうかもしれませんが気にしないでください.大きいと偉そうな感じがしますが,大きいとか小さいとか,高いとか安いとか関係ないですから.それぞれの人が無理せず楽しめるクルマを選べばいいと思います.わたしが自分でジャガーに乗るとしても無理のない範囲で,気軽に楽しめる個体を探します.実際にはEワヤマさんに探してもらうのですが,彼が納得しないと探してくれないから大変です.そうした「攻防」も楽しみのうちでしょう.(笑)

また機会があればJAGUAR TALKをしましょうか.

閑話休題,ときにはDD6のポーカーフェイスを崩してやりたくなります.「おまえの性格はわかってるんだもんね」って.

帰宅が遅くなると都内でも信号の具合によっては前がすっかり空くこともあります.そこで何気なくペタっと踏んでみました.当然のように2速にキックダウンして加速します.やっぱり速いです.普段は2,000rpm程度なので3,000rpmも回すとかなり速い.ほんとうは4,000rpm回したいんだけど,これ以上は一般道では回せません.

大きな声では言えませんが,軽くシグナルダッシュしてみたのです.すると250ccのスクーターと並びました.DD6はなかなか侮れません.キックダウンもスムーズです.このクルマでドリフトしたら豪快でしょうねぇ.でもLSDは入ってなかったっけ? いえ,そんなことしませんよ,わたしは.(笑)

とにかく制動距離が長いことは忘れてはいけません.No.11で「ボディサイズと燃費を気にしなければダブルシックスはいいクルマ」だと書きましたが一部訂正します.

重さと燃費を気にしなければダブルシックスはいいクルマだと思います.

大きさには馴れました.1800mm未満の車幅であれば大丈夫です.もっとハンドルが切れないALFA164で鍛えられたおかげで全長が伸びても取り回しできます.最後は,馴れと慎重さですね.