LOTUS EXIGE

エクシージはわたしが一番好きなエリーゼです。だってカッコいいもん!
リアフェンダーの内側なんて指一本の隙間しかないんですよ。ペタペタに低いです。

これは納車整備です。ルッソの納車整備はエンジンを下ろすことになっています。(冗談です)

2004年になってエンジンを下ろすのはF355LANCIA THEMA 8.32LOTUS ELISERENAULT CLIO 2.0 RSに続いて5台目です。2ヶ月で5台ですか。去年よりは確実に増えています。

ボディが汚れていたのでざっと流してからバックで入れます。フェラーリ、ボクスター、エリーゼなど、うしろにエンジンがあるクルマはうしろから入れるのです。

エンジンフードを開けたところに海外のナンバープレートが入っていました。GBとあるのでイギリスのものかな。海外で走っていた個体です。なにが出るか楽しみです。

足だけ出さなくても、ちゃんと撮ってあげるから前に立ちなさい。(笑)

青い保護フイルムを貼ってから、スモークガラス風のエンジンフードを外して解体、いえ分解開始。
エンジンオイルを抜いておきます。
気づくとリアカウルが外れていました。声をかけてくれればいいのに、わたしが知らない間に進めて驚かせようという作戦のようです。

こうして塗装済のボディが置いてあると、まるで 1/1のプラモデルです。

カウルが外れたエクシージはふつうのエリーゼとおなじだな。
と思ったら4連スロットが出てきました。エリーゼのスロットは1個なので、ここが違うわけですね。他にも細かな点でいろいろと違うところがあります。EXIGEは特別モデルです。
運転席からガラス1枚隔ててエンジンが回っているのですからにぎやかなはずです。ほんとに頭のすぐうしろにエンジンがある感じです。
シンプルなダッシュ回りはエリーゼと共通です。現行エリーゼにはエアコン、パワーウィンドウ、集中ドアロックがついているとか。パワステがついたらフル装備じゃないですか。ロータスはどこへ行くのでしょう?
エンジンを下ろすためにはボディ側とのつながりを断つ必要があります。パイプや配線、マウントなど多岐にわたります。今回はエアコン付なので手間がかかりました。
ダッシュボードに赤と青の温度調整があるのがエアコン付の証拠。リアカウルが外れてコンプレッサーを見るまでエアコン付だと気がつきませんでした。言い訳しますと「EXIGEでエアコンが必要になるような使い方をするのかな」という疑問があります。
エンジンを右側から見たところ。エンジンとボディの隙間にオルタネータとコンプレッサー(黄矢印)がついています。写真右側に2本写っている黒いパイプはエアコンの配管です。
エンジンルームと運転席の隔壁にワンタッチコネクタがついていました。これはエリーゼにはなかったものです。
クレーンをもってきてエンジンを吊ります。
干渉しないように慎重に上げていきます。
エンジンが下りました。エキマニも凝っています。4連スロットといい、吸排気効率を上げる工夫でしょうか。まるでオートバイです。
ミッションとクラッチを外したらこんなフライホイールが出てきました。最初から穴を開けて軽量化してあります。
外したミッションとクラッチ。レリーズベアリングはかなりガタが出ていました。
クラッチ板とクラッチカバー。フライホイールもそうですが、金属表面が焼けていて、ハードな走り方をしていたことが窺えます。
古いクラッチ板を振るとカタカタ音がします。新品はそんなことはありません。よく見るとスプリングの端(黄矢印)が磨り減っています。そのせいで隙間ができているのです。サーキットのコーナー手前でシフトダウンといったことを繰り返していたのかもしれません。
新しいクラッチカバーが付きました。
その上からミッションを取り付けます。きれいなのは塗装したから。(プラモデルみたい)
タイミングベルトが見えました。比較的きれいなので一度替えてあるようです。そういえばリアカウルも一度は外した形跡がありました。少しタイミングのズレが見られ、使い方もわからないため、タイミングベルト、ウォーターポンプ交換、バルブタイミングの調整を行いました。もちろんカムシャフトで確認しながらです。
カムカバーを開けてカムシャフトが出てきました。EXIGEは低回転のトルクが細いので、てっきりハイカムが入っているかと思ったらそれほど強いものではないようです。
プラグはカーボンで真っ黒。注意しないとすぐにカブります。
再度エンジンを載せます。
補機類を取り付けていきます。手前の黒いパイプがエアダクトです。これはボディ左側の吸入口につながります。
3人がかりでリアカウルを取り付けました。
完成です!

やっぱりカッコいいなぁ。


運転席の雰囲気はエリーゼとおなじです。イグニッションをONにしてセキュリティを解除、セルを回すとバババババッとエンジンがかかります。エンジンを下ろす前よりもアイドリングが安定しています。吹け上がりもいい。水温計の針が動き始めるまで暖機してからスタート。ルームミラーはあまり役に立ちません。バックするときに真後ろがよく見えないので慎重に、それと車高が低いのでスロープや段差では要注意です。

クラッチもシフトもさほど重くありません。ステアリングはクイックで、路面の状態がよくわかります。パワステはありませんが、走行中は非常に軽快。アクセルを開けるときは両手でしっかり握っておく必要があります。乗用車みたいな片手運転は禁物。高速入口のループで軽く踏んでみたのですが、まったく平気な顔して曲がっていきます。

高速といえども流れをリードするのはカンタンなので合流もスムーズです。しかし周囲のトラックが一段と大きく見えます。ブレーキもサーボアシストなどないので車間距離は十分とりましょう。5速で巡航していれば比較的平和なのですが、3,000rpm程度ではEXIGEにとっては低回転域。5,000rpmあたりからがパンチがあるのですが、そこまで回すと室内はかなりの振動と騒音に包まれます。それと高速走行中、やけにステアリングが軽く、フロントが浮いているような感じがしたのですが、あとで聞くとロータスはそういう傾向があるとか。サーキットならともかく、移動のために使うには向いていません。ましてや、ずっと直線ばかりでは退屈です。(笑) 全体の作りはラフですが、雑なアクセルワークは受け付けません。こいつを乗りこなすには腕を磨く必要がありそうです。